[東京/ソウル 19日 ロイター] - 韓国政府は19日、日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟を巡り、日本政府が要請していた仲裁委員会の設置を拒否した。河野太郎外相はこの日、南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を外務省に呼び、国際法違反の状態を放置せず、直ちに具体的な措置を取るよう、韓国側に改めて求めていた。

河野外相は、韓国政府が元徴用工訴訟の判決について直ちに是正措置を講じるべきだとし、韓国政府が行っていることは、第2次世界大戦後の世界秩序を覆すことに等しいと発言。

南氏は、韓国政府は訴訟の両当事者が納得ができ、両国関係を損なわない環境づくりのため日々努力しており、日本側には韓国側の構想を伝えたと主張したが、河野氏は南氏の発言を遮り、韓国側の提案は全く受け入れられず、国際法違反の状況を是正するものではないと反論。知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だと主張した。

日本政府は先月、日韓が共同基金を設立して元徴用工らに慰謝料を支払う韓国の提案を拒否している。

韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安全保障室第2次長は19日、外交努力が尽くされていない中、日本が一方的に対韓輸出規制を強化することは、世界貿易機関(WTO)の自由貿易の原則と国際法に違反しているとの認識を示した。

金氏は、日本政府が要請していた仲裁委員会の設置は対立の解消にはつながらず、今後の関係を悪化させるだけだと述べた。

一方、韓国産業通商資源省は、日本による韓国向けの輸出規制強化に関する再協議を24日までに開催するよう日本側に求めた。

同省の李浩鉉(イ・ホヒョン)貿易政策官は、日本政府が貿易規制上の優遇措置対象である「ホワイト国」リストから韓国を外す計画について、「明確な証拠と事実」に基づく措置であるべきだと強調。このような動きが両国経済だけでなく世界的なサプライチェーンに重大な影響を及ぼすとの大きな懸念がある」と指摘した。

ソウルでは19日早朝、在韓日本大使館の前で乗用車が炎上し、乗っていた78歳の男が病院に運ばれた。テレビ報道によると、男の義父は戦時中の強制労働の犠牲者で、日本の輸出規制に抗議したとみられている。警察と消防当局は、調査中として動機についてコメントを控えている。

消防当局によると、その後、男は死亡した。

サムスン電子<005930.KS>は、国内の取引先企業に書簡を送り、日本が韓国向け輸出規制を拡大する可能性に備え、日本製部品の在庫を増やしておくよう求めた。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、主要5政党の指導者らと会談し、日本による半導体材料の輸出規制強化などを協議し、問題解決に向け協調して取り組むことを確認した。

また安全保障問題の顧問は、議員との会合で、日本との対立がさらに悪化した場合、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を見直すこともあり得るとの考えを示した。

*内容を追加しました。