[シドニー 18日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した6月の雇用統計では、フルタイム就業者数が大幅に増加したものの、失業率は前月と同水準にとどまった。

オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は、労働市場が堅調になれば賃金の伸びやインフレ率が上向くと期待しており、労働市場の動向を注視している。

最近中銀は、賃金への上昇圧力がかかるには、失業率が4.5%に低下する必要があるとの推計値を公表した。住宅価格が下落し個人消費が低迷するなか、中銀は失業率をその水準に改善させるため、6月以降2度利下げを実施。政策金利は過去最低の1%となっている。

ただ、6月の失業率は5.2%で高止まりしている。一方、フルタイム就業者数は2万1100人増加した。 失業率は2月に4.9%まで改善したが、その後は上昇している。

6月の就業者数は前月比500人増にとどまり、エコノミスト予想(1万人増)を大幅に下回った。パートタイム就業者数が大幅に減少したことが一因。パートタイム就業者数は5月に、連邦選挙に関連した一時雇用が増え、急増していた。

6月の豪労働参加率は66.0%。年間の就業者の伸びは2.4%で、米国の1.6%を大きく上回っている。

ただ、移民の流入で求職者は増加。失業率は3カ月連続で5.2%に高止まりしている。

求人サイト「インディード」のアジア太平洋担当エコノミスト、カラム・ピッカーリング氏は「今回の統計で、労働市場が緩んでいるとの見方が強まった」と指摘。

エコノミストの間では11月までに追加利下げがあるとの見方が浮上している。

金利先物市場<0#YIB:>が予想する8月の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は、20%から12%に低下。豪ドル<AUD=D3>は0.3%上昇した。

AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は、8月の利下げを促すほど「劇的な内容ではなかった」との見方を示した。

同氏は「今後6カ月で雇用の伸びがさらに鈍化するだろう。年内の利下げが必要との見方に変わりはない。政策金利は来年初めには0.5%に下がるだろう」と述べた。

ピッカーリング氏も「追加利下げの可能性が高いとみられる。11月になる可能性が最も高い」と述べた。

*内容を追加しました。