[ワシントン 11日 ロイター] - 米労働省が11日発表した6月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.3%上昇し、2018年1月以来1年5カ月ぶりの大幅な伸びとなった。幅広い項目のモノやサービスが値を上げた。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が今月に利下げするとの見方は変わらないとみられる。

5月は0.1%上昇していた。

コアCPIの前年同月比は2.1%上昇だった。5月は2.0%上昇していた。

総合指数は2カ月連続で前月比0.1%上昇。ガソリンの値下がりや食品が抑制要因だった。前年同月比は1.6%上昇。5月は1.8%上昇していた。市場予想は前月比が横ばい、前年同月比が1.6%上昇だった。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は5月に前年同月比1.5%上昇した。今年は物価目標の2.0%上昇を下回り続けている。

パウエルFRB議長は前日の議会証言で、貿易摩擦や世界経済の鈍化などのリスクの高まりから経済を守るために「適切に行動する」と述べた。「物価の弱含みが現在の見通しよりも長引くリスクがある」とも発言した。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は7月30─31日に開催される。6月の前回会合では19年の物価見通しを1.5%上昇とし、3月時点の1.8%上昇から下方改定した。

MUFGの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「FRBの積極的な刺激策の正当性を削ぐ結果となった」と指摘。「トランプ政権がいかに一段の刺激策を切望しても、年内に2回以上の利下げが実施される公算は小さい」と述べた。

6月のCPIの内訳は、ガソリンが前月比3.6%下落。前月は0.5%下落していた。食品は横ばい。前月は0.3%上昇していた。家庭用食品は6月に0.2%下落した。

帰属家賃は2カ月連続で0.3%上昇した。衣料は1.1%上昇。前月は横ばいだった。算出方法の変更が影響し、3月と4月は大幅に下落していた。中古車は1.6%上昇。前月まで4カ月連続で値下がりしていた。家庭用品・家庭向けサービスは0.8%上昇し、1991年以来の大幅な値上がりとなった。園芸や芝刈りサービスの値上がりが影響した。

アライアンス・バーンスタインのシニアエコノミスト、エリック・ウィノグラド氏は「インフレ期待の低下が、FRBが利下げに動く主要な根拠の1つだ。そのため、インフレ期待が回復すれば、緩和サイクルの余地は限定的となる可能性がある」と述べた。