[ベルリン 8日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した5月の貿易統計は、輸出が前月比1.1%増と、ロイターがまとめた市場予想の0.5%増を上回った。

ただ、貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題を背景にドイツ経済は減速しており、4月の減少分を相殺することはできなかった。4月の輸出は3.4%減少していた。

5月の輸入は前月比0.5%減。貿易収支は187億ユーロ(209億9000万ドル)の黒字だった。前月は169億ユーロの黒字。

同時に発表した5月の鉱工業生産指数は前月比0.3%上昇。予想は0.4%上昇だった。前月は2.0%低下だった。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は、5月の鉱工業生産指数が上昇したが、ドイツの製造業の問題は収束していないと指摘。

「むしろ第2・四半期全体の鉱工業生産は減少し、ドイツ経済はマイナス成長ではなくても、大幅に鈍化することはほぼ確実とみられる」と述べた。

前週末発表の5月の鉱工業受注指数は2.2%低下と、予想を大幅に下回った。

ドイツ連銀は第2・四半期の経済成長率が小幅なマイナスになると予想している。

バンクハウス・ランペのアレキサンダー・クルーガー氏は「他の経済指標も予想を下回っており、マイナス成長の見通しが強まっている」とし「成長予測がさらに下方修正される公算が大きい」と述べた。

IFO経済研究所の調査によると、ドイツの製造業者は、大規模なレイオフを回避するため、短時間労働の活用を増やすとの見通しを示している。

貿易摩擦、英国のEU離脱問題、世界経済の減速見通しがドイツ経済の重しとなっている。

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