[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米株式市場では主要株価指数が過去最高値圏にある中、経済指標がまちまちの内容となっており、先行き不透明感が強まる見通しだ。

米株式市場では5日までの週に主要株価指数がいずれも史上最高値を更新し、市場の信頼感を映したものの、債券利回りの低下や小型株のさえない動きからは投資家がどこに投資すべきか困惑している様子もうかがわれ、警戒感は強い。

5日までの週は、米利下げ観測を背景に米株市場と米国債市場(価格)が上昇。S&P総合500種<.SPX>、ダウ工業株30種<.DJI>、ナスダック総合<.IXIC>はそれぞれ終値での過去最高値を記録し、米10年債利回りは2%を下回り2016年終盤以来の低水準となった。

利下げは景気減速の兆候を受けて実施されることが多く、株式にとって最終的にはマイナスとなる。ただ、企業の借り入れコスト低下につながることから企業利益の支援や設備投資の促進を通じて株価にプラスになるとも考えられている。

5日の米株市場は、強い内容となった雇用統計を受けて大幅利下げを巡る観測が後退したことから下落した。[nL4N2463DX]

堅調な雇用統計とは対照的に、5日までの週に発表された製造業・非製造業データなどは弱い内容となっていた。

市場ではまちまちのシグナルを受けて不動産株や主要消費財株が買われてきたが、投資家は米利下げや米中貿易戦争の休戦に備え、シクリカル銘柄を売ることに消極的だ。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツの国際戦略責任者、アンドリュー・ミリガン氏は「投資家は微妙なニュアンスを持たなければならない」と指摘。「シクリカル銘柄や利回りを選好することに反対しない」と述べた。

また、市場の見通しが不透明なことを踏まえ、複数の市場ストラテジストは、ディフェンシブセクターの保有を増やしつつ、小型株のような売り込まれた銘柄に関して機会を探るといった、折り合いをつけるアプローチを提案している。

そうしたアプローチは米経済の先行き不透明感を考慮するととりわけ賢明かもしれないとプルデンシャル・フィナンシャルの首席市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は指摘。今後の指標はリセッション(景気後退)への懸念を確認する内容と、株価を支援してきた利下げ期待をくじく内容のどちらにもなり得るとの見方を示した。