[シアトル/シカゴ 3日 ロイター] - 米航空機大手ボーイング<BA.N>は3日、737MAXの墜落事故で影響を受けた遺族や地域社会を支援する地方政府や非営利団体に、数年間で1億ドルを拠出する方針を表明した。墜落事故で大きく傷ついた自社のイメージ改善を狙う。

昨年10月のインドネシア・ライオン航空機、今年3月のエチオピア航空機の墜落事故で計346人が死亡した。ボーイングは、遺族らが起こした100件強の訴訟や規制当局などの調査に直面している。同社広報担当者は今回の拠出についてこうした訴訟とは別に行うとし、訴訟への影響はないと説明した。

ボーイングは、影響を受けた地域社会での教育・生活費支援や経済開発の促進を使途に想定。資金を受け取る当局・団体名は特定しなかった。

デニス・ミュレンバーグ最高経営責任者(CEO)は「搭乗者の遺族や最愛の人に心からのお悔やみを述べるとともに、当社最初の支援がこうした人々の癒しになればと願う」と話した。

拠出額の1億ドルは、737MAX8のカタログ記載価格を下回る。

エチオピア航空機墜落事故の犠牲者の多くは、援助機関の関係者や医療、食糧、環境プログラムの従事者だった。

同機墜落事故の一部の遺族らの代理人であるニューヨークの弁護士、ジャスティン・グリーン氏は「これらの乗客が行ってきた取り組みの支援に資金が充てられれば、有益だ」と語った。

その上で、訴訟については方針に変更はないとし、「遺族らは事故がなぜ起きたか、回避できなかったのかを知りたい」と指摘した。

また、エチオピア機墜落事故の複数の訴訟を担当するシカゴの弁護士、ロバート・クリフォード氏は支援金について、遺体返還に使われることが望ましいという考えを示し、「最愛の人を取り戻そうと遺族らはひどく混乱している。一区切りつけたいと願っている」と指摘した。

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