Sinéad Carew

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 24日からの週の米株式市場では、大阪市で週末に開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせた米中首脳会談に注目が集中しそうだ。

トランプ米大統領が5月初めに中国からの輸入品2000億ドル相当への関税を課し、3250億ドル相当の輸入品への追加関税もちらつかせたことで、米国株は同月に6.6%下落した。

その後、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待と米中通商協議の進展への期待から、株価は下落分を取り戻すまでに回復。週末の米中首脳会議に期待がかかっている。

21日付のウォールストリート・ジャーナル紙が、米中会談前に緊張を高めるのを避けるため、ペンス米副大統領が中国の政策に関する演説を延期すると報じたことで、期待はさらに高まった。

マニュライフ・インベストメント・マネジメントの首席エコノミスト、フランシス・ドナルド氏は、投資家は米中首脳会談が完全合意に至ることまでは期待しておらず、「貿易面の緊張が緩和しているとの幾分の安心感」を求めていると説明した。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのグローバル市場ストラテジー責任者、ポール・クリストファー氏は「G20で期待できるのは握手と交渉再開の約束ぐらいだろう」と述べた。

この程度の進展でも相場を押し上げるには十分かもしれない。逆に期待以下の結果に終われば相場は急落する恐れがある。

BofA・メリルリンチ・グローバル・リサーチのグローバル投資ストラテジスト、ジェアード・ウッダード氏は、市場は悪い結果を織り込んでいるため「関税が引き下げられれば、いや緊張激化の可能性を取り除く友好的な展開になるだけでも、市場は大きな強気反応を示しそうだ」と話した。

ウッダード氏は、首脳会談が良好な展開になればS&P総合500種株価指数<.SPX>は3000を突破する可能性があるが、進展がなければ2750に下がるかもしれないとみている。21日の終値は2950.46だった。

投資家にとっての不透明要因の1つは、首脳会談で進展があった場合、FRBが利下げを遅らせるかどうかだ。CMEフェドウォッチによると、市場は年末までに少なくとも3回の利下げを予想しており、7月の利下げは100%織り込まれている。

ウェルズ・ファーゴのクリストファー氏は、米経済は減速しているとはいえ、そこそこ堅調で、FRBは貿易協議の動向をしばらく見守る余裕があると見ている。

マニュライフのドナルド氏は、投資家が貿易摩擦の緩和と利下げ回数の減少をてんびんにかけるとすれば、「貿易協議の合意の方が、利下げよりも米国の経済成長を強力に押し上げる」と指摘。「米企業は調達できる資金の不足に苦しんではいない。貿易摩擦によって経済の将来が見通せないことに悩んでいるのだ」と話した。