[イスタンブール 24日 ロイター] - トルコの最大都市イスタンブールで23日に投開票されたやり直し市長選挙は、3月の初回選挙に続き、野党・共和人民党(CHP)候補が勝利した。エルドアン政権には大きな痛手となる。

3月31日のイスタンブール市長選は、CHPのイマモール氏が、エルドアン大統領の与党・公正発展党(AKP)候補のユルドゥルム元首相を僅差で破った。この結果にAKPが異議を申し立て、最高選挙管理委員会が選挙のやり直しを決定した。[nL3N22I3IX]

やり直し選挙は、独裁色を強めるエルドアン大統領に市民が歯止めを掛けることができるかを占う試金石とみられていた。

最高選挙管理委員会は、イマモール候補の得票率が54.21%だったと発表。ユルドゥルム候補との得票差は3月の選挙時よりも大幅に拡大した。

イマモール氏は支持者を前に「1600万人のイスタンブール市民は民主主義に対するわれわれの信頼を取り戻し、公正への信頼を新たにした」と述べた。

AKPのユルドゥルム氏はイマモール氏を祝福し、成功を願うと表明。エルドアン大統領もツイッターでイマモール氏を祝福した。

<求心力低下も>

イマモール氏は、AKPの牙城とされていたイスタンブールで支持を集め2度にわたる市長選で勝利を収めた。これで、主要3都市の首長を野党がおさえたことになり、エルドアン大統領の求心力の低下につながる恐れがある。

元トルコ外交官で現在はカーネギー・ヨーロッパ(ブリュッセル)の客員研究員のシナン・ウルゲン氏は「得票差を考えると、トルコの政治の将来に影響を及ぼすのは確実だ」と述べた。

アナリストは、今回の敗北がエルドアン政権の内閣改造や外交政策の修正につながる可能性もあると指摘する。また、2023年に予定される大統領選が前倒しされる可能性もある。

民族主義者行動党(MHP)のバフチェリ党首は「トルコは今後、本質的な問題に立ち戻るべき。選挙プロセスは終了すべきだ」と述べ「選挙前倒し論は、わが国にとって最悪の事態につながる」と指摘した。

金融市場は、イスタンブール市長選を巡る不透明感と経済改革が遅れる可能性から神経質な状況が続いている。加えて、ロシア製ミサイルシステム導入を巡り米国が制裁を科す構えをみせていることも圧迫要因となっている。

*内容を追加します。