(ブルームバーグ): 無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)は、仮想通貨交換業者として近く金融庁に登録を済ませ、早ければ来月中にも国内でビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)の取引を開始する。

情報が非公開として匿名を条件に語った関係者によると、LINEのブロックチェーン関連事業を手掛けるグループ会社LVCは、金融庁の審査を経て今月中にも国内事業の前提となる登録業者として認められる見込み。登録を受けてLINEは、「BITMAX」という名称の取引所を数週間内に開設し、ビットコインやライン独自の通貨「Link」を含む仮想通貨の売買や送金サービスを始める。

ラインは昨年7月、グループ会社を通じてシンガポール拠点の仮想通貨取引所「BITBOX」を設置。約30種類の仮想通貨を取り扱い、15の言語で対応しているが、日本と米国は対象外となっていた。金融庁の登録を受けることで国内約8000万人のユーザーの取り込みを図る。

ラインは20日、「当社が発表したものではなく、正式に決定している事実はない」とのコメントを発表した。ブルームバーグの報道を受けて、同社の株価は一時4.6%高まで上昇した。

ユーザー数が伸び悩む中で収益源を広告事業に依存しているラインは、金融・決済サービスを戦略事業と位置付け強化している。みずほ銀行と野村ホールディングスとはそれぞれ合弁で準備会社を設立済みで、当局の許認可を前提に、証券業務は2019年中、銀行業務は20年秋をめどに始めることを目指している。

米国では今月、会員制交流サイト(SNS)最大手のフェイスブックが商取引から送金まであらゆる決済に使用できる仮想通貨を20年にも導入する計画を発表。米ビザや米マスターカード、タクシー配車や音楽配信サービスなど30社程度が新通貨「リブラ」に参画するなど、テクノロジー業界の金融サービス参入が相次いでいる。

今年1月にラインが発表した18年12月期の連結決算は、37億円の純損失だった。売上収益は前年比24%伸びたものの、スマホ決済などフィンテック投資やマーケティング費用が膨らんだ。

(4段落目にラインのコメントを追加して記事を更新します.)

--取材協力:Pavel Alpeyev.

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