身内にも情報を隠す製造業に、ブロックチェーンは時期尚早
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流通のトレサビリティシステムにブロックチェーンを活用しようという話は、定番ともいえるお話だ。
しかし、情報の公開先をコントロールしながら、トレサビリティを実現しようとする仕組みを実装しようとした時、ブロックチェーン単体の機能でこれを実現することはできないということは、知っておいた方がいい。
ブロックチェーンは銀の弾丸ではないのだ。
むしろ、ブロックチェーンで出来ることは、ドキュメント(ここでは、トレサビリティ情報)の存在および、その完全性と、ドキュメント間の関連性を保証することくらいだ。
つまり、ブロックチェーンで保証されたドキュメントに対するアクセス制御は、別と考える必要がある。もっとも、アクセス制御に関する認可を定義する部分にブロックチェーンを活用できるという事あるが、ここでは割愛する。
そのアクセス制御に活用される技術は、IDベース暗号、そしてその発展形である属性ベース暗号、認証手段としての生体認証、そして、アクセスキーを秘密分散によって管理する技術であろう。
そして、これらを効果的に活用するのに必要なデバイスソリューションを組み合わせて、トータルで設計する。これが、ブロックチェーンを産業適用させるために必要な感覚だ。
だから、時期尚早と考えるのは、ソリューションに対する検討が不十分だから感じることなんじゃないかと思う。物事をザクっと大きい単位で語ろうとすると、そういう印象になりがちだ。
魂は、細部に宿売るものだろう。
注目のコメント
ブロックチェーンを「改ざんできない記録の仕組」としか捉えていないようで、サプライチェーンへのブロックチェーンの適用=トレーサビリティという視野の狭い思考になってしまっているようですね。
改ざんできない記録もブロックチェーンの主要な特性ではありますが、ブロックチェーンをサプライチェーンに適用しようとするなら、トークンによる帰属の明確化、P2Pネットワークによるアクセシビリティの向上といったことの活用を検討した方が良いと思います。
改ざんできないことと違い、帰属の明確化、アクセシビリティの向上は、サプライチェーンのシステムのメインストリームの機能を改善します。
ブロックチェーンによるトレーサビリティは、情物一致に対する考え方が甘すぎる事例ばかりで、流通業を本業とされている企業には全然評価されないだろうというのが現状だと思います。
しかし、受発注情報の連携、商品の物理的所在情報の共有、それらを参照しての決済の自動化というようなことは、現在すでに実現できる状況にあり、弊社でも近いものを構築したことがあります。
ブロックチェーンについては、広い視野を持って活用方法を考えてほしいと常々思います。
HTML文書やWEBアプリケーションにとってのインターネット(HTTP、TCP/IP)と同じように、企業間で連携される情報にとってのブロックチェーンを捉えれば、近い将来に暗号化通信が標準的に使われるようになることは想像に難くないと思います。
ブロックチェーンにおける情報開示のコントロールは、今すぐシステム開発に着手するのでなければ、将来の活用を検討するのにあたってさほど気にすることではないでしょう。