[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦通信委員会(FCC)の民主党系委員は12日、ソフトバンクグループ<9984.T>傘下の米携帯電話大手スプリント<S.N>とTモバイルUS<TMUS.O>の合併審査について、共和党系委員らは経済的、法的分析を十分に行わずに承認する方向に動いたと批判した。

ローゼンウォーセル委員は上院商業委員会の公聴会で「これは極めて異例のことだ。経済的、法的分析や資料がないのに同僚委員らは記者発表文で、この合併を支持すると表明した」と指摘。「これは政治において人々が想定し得る最悪の状況だ。何らかの密室取引のように思える」と述べた。

FCCのパイ委員長(共和党系)は5月20日、スプリントとTモバイルの合併を承認するよう他の4委員に伝えると明らかにした。カー委員は合併承認に賛成票を投じる意向を示し、オライリー委員は賛成に傾いていると述べている。

パイ委員長の報道官は「委員長の見解と発言はFCCが過去1年に集めた広範で公式な記録資料に基づいている」と説明した。

一方、米ニューヨーク州やカリフォルニア州など10州の司法長官は11日、スプリントとTモバイルの合併計画を巡り、競争の低下で消費者の負担が増えるとして差し止めを求め集団提訴した。

司法省は合併を承認するかどうかについてまだ見解を示していない。

10州の司法長官による提訴を受けて、Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)はツイッター上で「われわれが今後構築する全米規模の幅広く深い5G(第5世代)ネットワークは、米国が国際レベルで真の競争に打って出る最良の策になる」と強調した。

パイ委員長は11日、合併審査の正当性を主張するため、上院の一部民主党議員に書簡を送った。リチャード・ブルメンタル議員(民主)に対しては、FCCは通常の手続きに沿って審査を行い、正式な指示を出す数週間前に企業側が合意した事項を詳細に公表するなど、通常よりも高い透明性を確保したと説明。

パイ氏は、同合併計画についてホワイトハウスの誰ともやり取りしていないと述べた。