[東京 6日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は6日、都内で講演し、米国などの先進国は自国の政策が新興国経済にどのような影響を及ぼすか、もっと考慮する必要があるとの認識を示した。

同総裁は、国際金融協会の会合で「先進国の政策当局に対し、自国の政策が新興国市場に及ぼす影響を完全に内部化するよう求めるのは非現実的だが、国内の使命を考えれば(先進国の)金融政策では、跳ね返ってくる効果を考慮する必要性が高まる」と述べた。

総裁によると、米国の経済生産は世界全体の15%にすぎないが、米ドルは国際貿易の5割以上で利用されている。また、米ドルを自国通貨のアンカー通貨にしている国の経済生産は、世界全体の70%を占めるという。

総裁は「これは、米国の動向がグローバルな経済・金融情勢に不釣り合いな影響を及ぼしていることを意味する」と発言。

「米連邦準備理事会(FRB)が、積極財政などの国内要因に対応すれば、グローバルな金融状況と活動が強く反応することになる。2013年のテーパー・タントラムの時がそうだったし、FRBのコミュニケーションで米金融政策に対する予想が大きく変わった過去1年も、そうだった」と述べた。

新興国については、中銀の独立性を維持し、過度の融資拡大を避ける必要があると発言。外貨建て債務への依存度を減らすべきだとの認識も示した。

このほか、流動性が低い新興国の債券に投資した海外ファンドが投資家による資金引き出し需要の増大に直面した場合、不安定性が増す恐れがあると警告。世界の規制当局は、こうしたファンドによる資産売却が秩序だったものになるよう、償還までに一定の期間を設けるかどうか検討していると述べた。

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