[サンフランシスコ 31日 ロイター] - 米中両政府間の貿易摩擦が激化する中、世界の株式市場は5月に時価総額が2兆ドル(約216兆円)余り減少した。

月末にはトランプ米大統領が移民対策を巡りメキシコに制裁関税を課す方針を示したことから、貿易問題が原因で景気が減速するとの懸念が一段と強まった。

トランプ氏は5月30日、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、不法移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると方針をツイッターで明らかにし、市場に衝撃を与えた。

以下の2つのグラフィックは5月31日の終値を反映していない。

米S&P総合500種指数<.SPX>は31日の取引を1.3%安で終えた。月間は6.6%安となり、リフィニティブのデータストリームによると、時価は約1兆6000億ドルが消失したことになる。

MSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>は31日は0.8%安となり、月間の下落率は6.2%に拡大。データストリームによると、月間で時価は2兆ドル超が失われた。

運用資産が1兆ドル近くに上る投資運用会社ヌビーンの世界株式担当責任者、サイラ・マリク氏は「これまでの中国との関税問題が解決していないのに追加関税が発動されるとの懸念が強まれば、世界市場全体にとって明らかなマイナス要因だ」と指摘。

以下のグラフィックは5月31日の終値を反映していない。

東京株式市場の日経平均<.N225>とMSCIアジア太平洋株指数(日本除く)<.MIAPJ0000PUS>はともに、5月に8%近い下落となった。アジア地域が世界貿易に敏感であることを物語っている。

欧州株式市場のSTOXX欧州600種指数<.STOXX>は31日に0.8%安となり、5月は5.7%下落と、月間としては2016年1月以来の大幅安となった。

LPLフィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は電子メールで「カナダとメキシコとの協議がいかに順調かという話を聞いていたため、対メキシコ関税発動の警告はかなり予想外だった」と指摘。「ただ、現実的に大きな疑問点は、同時に2つの貿易戦争を戦えるのかということだ」と述べた。