[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)は28日、非公式首脳会議を開催し、欧州委員長の人選などを巡り協議を行った。候補者を巡り不協和音が表面化したが、6月下旬の次回首脳会議で最終人事案をまとめることで合意し、要職の半数に女性を選ぶという目標を打ち出した。

10月末に退任するユンケル欧州委員長の後任人事を巡り、ドイツが推す中道右派・欧州人民党(EPP)所属の独議員ウェーバー氏にマクロン仏大統領が反対を唱えたことにメルケル独首相は不快感を表した。

マクロン氏は会議終了後、記者団に「私にとって鍵となるのは、最重要ポストにはフランスの提案に同意し、最大限のカリスマ性と創造性、能力を備える人物が就くことだ」と強調。ジェンダーバランスも重視していると述べた。

26日までに実施された欧州議会選では、大連立を組む二大会派の中道勢力が議席を減らした一方、EU懐疑派のナショナリズム勢力のほか、リベラル派や環境派が議席数を伸ばした。

メルケル氏は「6月の首脳会議までに欧州委員長人事案をまとめることを目指す」と表明した。その上で、マクロン大統領は現実的になるべきで、ウェーバー氏を推薦したEPPが改選後の欧州議会でも第1会派であり続けることを考慮に入れる必要があると訴えた。

6月20─21日のEU首脳会議で候補を最終決定した後、7月の改選後初めての欧州議会で承認を受けることになるが、二大会派のEPPと中道左派・欧州社会・進歩連盟(S&D)は議会選で過半数を失っているため、リベラル会派や緑の党の協力を求めるとみられる。

欧州委員長のほか、EU大統領や欧州中央銀行(ECB)総裁などが年内に任期末を迎える。フランスとドイツはともに自国の候補を次期ECB総裁に担ぎ出すことを目指している。だが、当局者らによると、いずれもECB総裁と欧州委員長の両ポストを自国出身者で占めることはできないとみられる。

<ジェンダーや地理的バランス>

次期欧州委員長について、マクロン氏はデンマーク出身のベステアー欧州委員(競争政策担当)、ブレグジット(英EU離脱)交渉の責任者を務めるフランス中道右派のバルニエ氏、オランダ出身のティメルマンス欧州委第1副委員長らが妥当な候補者との認識を示した。

スペインとスウェーデンの首脳はティメルマンス氏、アイルランドとクロアチアはウェーバー氏、ルクセンブルクとスロベニアは数少ない女性候補の1人であるベステアー氏にそれぞれ支持を表明。

トゥスクEU大統領は「ジェンダーバランスを考慮すると(要職に)少なくとも女性2人が就くべきだ」と述べた。

こうした中、東欧諸国の首脳らは、要職の配分で地理的なバランスを取るよう要請した。

メルケル、マクロン両氏は30日に会談が予定されている。

一方、現在はEUの5つの最重要ポストのうち3つを自国出身者で埋めるイタリアは、国内のユーロ懐疑派の台頭や債務問題を背景に、自国代表の減少がほぼ確実となっている。

*内容を追加しました。