[ワシントン/北京 22日 ロイター] - 中国の崔天凱・駐米大使は21日、中国政府は米国との通商協議を続ける用意があると表明した。こうした中、中国の米主要経済団体の調査では、会員企業の半数近くが中国で非関税障壁による報復に直面していることが分かった。

米中通商協議は今月10日まで開かれたが、次回会合の日程はまだ決まっていない。

米中の対立は、米国が先週、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する輸出規制を発表したことを受けて強まっている。

21日の米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権が中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)<002415.SZ>についても、米企業から部品などを調達することを制限する規制を検討していると報じた。

米中通商協議は、中国が合意文書の大幅な修正を求めたことを受けて今月初め以降大きく後退している。

こうした中、崔大使はFOXニュースのインタビューで、「中国は妥結に向けて協議を続ける用意がある。われわれの門戸は引き続き開かれている」と述べた。

一方で、これまでの協議で仮の合意を巡り度々「心変わり」したのは米国側だと非難。「一夜にして心変わりし、すでにまとまった仮合意を一度ならず破ったのは明らかに米国のほうだ」と述べた。

米当局者の当時の話によると、ロス米商務長官は2018年6月、米国からの輸入を約700億ドル拡大するとした中国側の提案について同国の劉鶴副首相と協議した。しかし、トランプ大統領はこの提案を受け入れず、関税発動に踏み切った経緯がある。

崔大使はファーウェイに対する米政府の措置にも言及し、「根拠や証拠が全くない」と批判、市場の健全な機能を損なう恐れがあると指摘した。

その上で「ファーウェイが民間企業であることは誰もが知っている。普通の中国民間企業だ」とし、「同社に対する措置は全て政治的動機に基づいている」との見方を示した。

中国の習近平国家主席は今週、国民に対し、「新たな長い行進」に備えるよう求め、共産党が1934─36年に国民党軍から逃れて行軍した「長征」を想起させた。

習氏は貿易戦争と直接関連付けることはしなかったが、市場アナリストはこの発言を、中国政府が対米摩擦の長期化に身構えていることを示すシグナルと捉えた。

こうした中、米企業が中国で貿易摩擦を巡る報復に直面していることも明らかになった。

在中国の米国商工会議所(ACCC)上海の姉妹組織が会員企業を対象に実施した調査によると、米企業は中国で、当局による検査のほか、通関手続きや許認可の遅れなどの非関税障壁に直面しているという。

調査では、250社近くの回答企業のうち40.7%が生産設備を中国国外にすでに移したか、移設を計画していることも分かった。

また4分の3近くの企業が、関税の影響によって自社の競争力が損なわれていると回答。約3分の1の企業は対応策として、輸出ではなく中国国内向けの事業に注力していると答え、投資を中止もしくは先送りしたとの回答も3分の1に上った。

調査は米中両国が今月、関税引き上げを発表した後に行われた。

*内容を追加しました。