[ワシントン/ベルリン 17日 ロイター] - 米国は17日、輸入自動車や部品に対する関税の判断を最大6カ月延期すると正式発表した。交渉相手の日本や欧州連合(EU)に猶予を与える。

ドイツは米・EU間の貿易摩擦激化の回避が期待できると評価したが、メーカー各社は関税について、雇用への影響や価格急上昇につながるほか、自動運転車への投資を脅かすと警戒している。

トランプ大統領はライトハイザー通商代表部(USTR)代表に対し、交渉を加速させるとともに180日以内に報告するよう指示。交渉で合意できない場合、追加措置が必要かなどを判断するとした。

また一部の輸入車が米経済を弱め、国の安全保障を脅かしているとの商務省の見解に同意したとも明らかにした。

トランプ氏は「輸入を減らして国内の競争環境を改善する必要がある」とし、強い国内自動車産業は米国の軍時的優位性に極めて重要との認識を示した。

米政府は、日本とEUについて「保護された海外市場」と指摘。「米国からの輸入車にかなりの障壁を設け、米メーカーが著しく不利な立場に置かれている」とする。

ロス商務長官はトランプ氏に「米自動車メーカー各社が長期の経済的可能性を達成し、国防産業に必要不可欠な最先端技術の研究開発を拡大できるようにすれば交渉成功と言える」との考えを伝えた。

日本とEUが、自動車・部品の輸出抑制にどう対応するかは不透明だ。

ドイツのアルトマイヤー経済相は17日、トランプ氏の自動車関税判断の延期決定について、貿易摩擦再激化を今のところ回避できると希望が持てるという認識を示した。「米国が輸入自動車を国家安全保障上の脅威と認定したことは遺憾」とも指摘した。

トヨタ自動車<7203.T>や米ゼネラル・モーターズ<GM.N>、独フォルクスワーゲン(VW)<VOWG_p.DE>などが加盟する米自動車工業会(AAM)は「政権が自動車関税の検討を続けることに(メーカー各社はなお)強く懸念している」と訴えた。

AAMによると、自動車メーカー各社は2017年以降、米国内の新設・既存施設に228億ドルを投じてきたとし、「自動車関税の引き上げはこうした経済的進展を打ち消しかねない。関税か投資かであって、両立はできない」とくぎを刺した。

トヨタはこの日、声明を発表し、輸入車が安全保障上の脅威だとトランプ大統領が判断したことを非難し、「われわれの投資が歓迎されていない」というメッセージを日本メーカーに送ることになると指摘した。

*内容を追加しました。