[ロンドン 16日 ロイター] - 英秘密情報部(MI6)のリチャード・ディアラブ元長官は16日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] が重大な安全保障リスクをもたらしており、次世代通信規格「5G」ネットワークへの参入は限定的な形であっても認めるべきでないと訴えた。

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティーのファーウェイ報告書に序文を寄せた。ディアラブ氏は1996年から2004年までMI6長官を務めた。

英国はファーウェイについて、5Gネットワークの中核部分構築への参入を認めず、限定的な参入承認にとどめる方針だ。

ディアラブ氏は、英国政府が中国企業に「最も敏感で重要な一部基盤の開発」を委ねると決断したとみられるとして、強い懸念を示した。

「共産党指導部が行使する統制から完全に独立した事業は、国内のどの組織にもできない。5Gの導入遅延や、低性能で高価な他社製品に落ち着かざるを得ないという脅しに左右されるべきでもない」と語った。

ファーウェイは報告書について事実に乏しく、近代中国や5Gの本質を誤って解釈しているとし、「孤立主義的なアプローチは米国第一主義を後押しする可能性はあるが、どうすれば英国の国益になるのかが判別しにくい」と指摘。自社は中国政府から一切指示を受けない独立企業だとした上で、事実無根の憶測や批判ではなく、確かな証拠に基づく判断を英国に求めた。

メイ首相の報道官は、政府がファーウェイに対する姿勢を再考するかを問われ、「5Gへの正しい政策アプローチを見直している最中で、公表準備が整えば文化相が議会に状況を説明する」と述べた。