【実録】ゾンビ企業が引き起こす、「コンプラ倒産」の闇

2019/5/16
「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉はこの十年来、絶えず世論をにぎわすパワーワードになった。
その中身は多岐にわたり、いわゆる「バイトテロ」といったモラルに依拠するものから、パワハラ、セクハラなど、組織・法人に責任が課せられるものもある。数多くのコンプライアンス問題がメディアに取り上げられ、議論されるご時勢だ。
環境活動、組織の社会的責任、統治能力などを重視するESG投資の浸透、働き方改革に伴う労務コンプライアンスへの注目など、企業活動へ向けられる目は年々厳しくなっている。
そうしたなかで、帝国データバンクは「コンプライアンス違反を要因とした企業倒産」(コンプラ違反倒産)を定期的に調査。国内企業の倒産取材の中で、「粉飾決算」や「業法違反」「詐欺」「脱税」などの違反が判明したものを2005年度から集計している。
その結果、政策と経営のねじれが生んだ、コンプライアンスの闇が見え隠れしていることがわかってきた。その実態を明らかにしていこう。

増えている「ゾンビ企業」

本題に入る前に、現在の企業倒産の状況と、企業を取り巻く経済・金融環境について触れておきたい。
2008年度をピークに、日本国内の企業倒産は毎年のように減り続けている。2008年4月〜2009年3月には1万3234件の倒産が発生。だが、2018年度は8057件と10年で4割も減った。
これはリーマン・ショック後、中小企業の連鎖倒産抑制のために、極めて強い政治面でのバックアップがあったからにほかならない。
リーマンショックで暴落した株価(写真:ロイター/アフロ)