18年度経常黒字、5年ぶり減少 19兆4144億円
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年度で見るとそうですが、2019年1-3月期で見ると、GDPの外需となる貿易サービス収支は堅調で、来週月曜日に公表される1-3月期のGDPも外需がかなり押し上げそうです。
ただ、最大の理由は国内経済が良くないこと等による輸入の大幅減となりますので、外需のプラス寄与でヘッドラインの経済成長率があまり悪くないからといって楽観視すべきではないでしょう。トランプ大統領は貿易赤字の削減を目指していますが、経常収支もその内訳の貿易収支も、国の経済を成長させ国民を豊かにするという観点からは、赤字黒字に殆ど意味が無く、政策目標とするに値しないというのが経済学の一般的な見方です。
とはいえ政府が巨額の負債と毎年の赤字を抱える我が国では、経常収支の黒字は経済を安定させる重要な要素です。粗っぽく言えば、日本が生み出したものすごく大雑把な意味でのモノやサービスを政府が借金して取り分以上に使い過ぎ、民間が自分の取り分を節約して余らせて、国全体として余ったものが経常収支の黒字になるわけです。経常収支が黒字ということは、民間が余らせたものをいつか税金として取り上げて、政府の赤字と借金の補填に回す余地があるということで、それなりに注目しておくべき数字かと。
減ったとはいえ19兆円もあれば心配することはないですが、固定相場だった前回の東京オリンピックのころ、日本は「国際収支の天井」に泣かされていましたし、原油価格が大きく上がった2013年前後の一時期、経常収支が赤字化するんじゃないかと心配されたこともありましたから。昔、公認会計士になりたての頃、コンサルタントとしてかなり有能だった私の上司が、「景気は、良い感じがした頃には実は後退期に入っていて、景気が後退したと思った時には既に後退期から脱しているものです」と良くセミナーで話をしていたことを思い出しました。
ただ、今回のように米中の貿易戦争の余波があると、読めない要素が深く関係してくるのでどうしても悲観論に拍車がかかってしまう日本ですね。