教えてAI 先⽣。あなたが学習し直すべき「弱点」

2019/5/14
「AIは、機械学習が全てじゃない」
2018年11月、東京は目黒で、5回目となる「CTOオブ・ザ・イヤー2018」が開催された。栄えある最優秀賞を勝ち取ったのが、教育テックスタートアップ「atama plus(アタマプラス)」で技術トップを務める川原尊徳。
川原尊徳(かわはら・たかのり)アタマプラス共同創業者
小学校でプログラミングを始め、東京大学工学部で代表の稲田大輔とともに情報工学を学ぶ。その後Microsoftに入社し、Hotmailや日本語IMEなどの開発に10年ほど従事。様々なタイプのプロジェクトを経験。その後1年ほどデータサイエンティストを経て、atama plusを創業。自由なスタイルが好きで、夏は常に短パンとサンダルというスタイルを崩したことがない。
技術がどれほど経営に貢献しているか──。そうした視点でピッチコンテストが行われるこのイベントで、川原が最優秀CTOに選ばれたのにはわけがある。
人工知能(AI)の開発手法のトレンドに異を唱え、それが共感を呼んだのだ。
アタマプラスのAIは、学習のつまずきの「根本」を探り、それを解消する最短のカリキュラムを、生徒一人ひとりにナビしてくれるというもの。
その「AI先生」の土台にあるのは、複雑に入り組んだ「知識の構造」を明らかにする、超巨大なナレッジグラフだ。
例えば、物理の「波」を習得するなら、数学の「三角関数」の知識が必須になる。そして「三角関数」には、数学の「角度」の知識が不可欠だ。
文部科学省の学習指導要領による、単元の「直線的」なカリキュラムとは違う、本当のナレッジグラフをつくりあげる。それこそが、生徒一人ひとりに適したレコメンドを実現するための環境づくりだ。
そして、その超巨大なナレッジグラフを土台にしたAIをつくるのに、「いま流行りの機械学習は、必ずしも必要ないのだ」と。
累計約20億円もの資金を調達した、気鋭のスタートアップ「アタマプラス」。特集第2回の本日は、川原のロングインタビューを基に、彼らのテクノロジーの裏側に迫る。
*第1回
【新】新しい「数学の教科書」をつくろう
ベストCTO受賞の「裏側」
川原 CTOオブ・ザ・イヤーを受賞した瞬間は、びっくりしました。もともと、獲れるわけがないから意味ないよねといって、出るのを断ろうと思ってたんです(笑)。
なぜ断ろうと思っていたか。テクノロジーは我々のコアであり、中身がばれると困るから。でも、表に出せるレベルにまで内容をそぎ落としたら、つまらない発表になっちゃう。
迷った結果、ちょこっとだけ出そうか、という話になった。
学習における「単元」というのは、学習指導要領のように単なる直線でつながっているわけじゃない。単元間は複雑に関連していて、そんなつながりを示す超巨大なナレッジグラフが大事だ、というアイデアをばらしたんです。
現在の数学のナレッジグラフ(アタマプラス提供)