【夏野剛】生徒1万人突破。N高は「当然の選択肢」になった

2019/5/12
「枠に入り切らない子」たちの受け皿になる──。
旧来の教育システムや教育方針を変える「ネットの高校」として2016年に始まったN高等学校。この5月に、生徒数がとうとう1万人を突破した。もはや、国内最大級の高校だ。
在籍中の生徒には、フィギュアスケート女子日本代表の紀平梨花さん、新世代の音楽家のSASUKEさんなど、一線で活躍する突き抜けた人材をはじめ、旧来のシステムにははまらなかった多様な人材が集まる。
見えてくるのは、もはやN高が「当たり前」の選択肢として浸透し始めたことだ。
「みんな違って当たり前」「好きなことを突き詰めて生きよ」
NewsPicksはN高の理事として立ち上げ当時から参画し、今年2月にはその運営に関わるドワンゴ社長に就任した夏野剛氏へのインタビューを実施。次世代の教育を提供するN高の使命を、企業としての立て直しと併せて語ってもらった。
夏野剛(なつの・たけし)ドワンゴ社長、慶應義塾大学特別招聘教授。1988年早稲田大学政治経済学部卒、東京ガス入社。95年ペンシルバニア大学経営大学院卒。ベンチャー企業副社長を経て、97年NTTドコモに入社し、99年に「iモード」サービスを立ち上げた。08年にドコモ退社後、複数企業の取締役を務め、2019年2月よりドワンゴ社長に就任

ぶっ飛んだ人材が生まれる時代

──才能あふれる若者にとって、「N高」という選択肢が当たり前になってきました。
夏野:そうなんです。もはや、教育というものの在り方が変わりつつあるんじゃないかなというふうに思っていて。
特に今のZ世代の人たちは、知識はいくらでも自分で得られる世代です。もちろん、世代で区切ることはあまり意味がなくて、今は老人であっても誰であっても、知識は全部自分で入手できる時代になっていますよね。
つまりメディア、先生、もしくは教育というシステムを通さないと知識は身に付けられなかった時代から、いくらでも自分で調べて何でもできる時代になってきて、それによって、もう一般の枠にははまらないような「ブッ飛んだ人たち」が出やすくなっている。
だから自分の自意識さえあれば、どこまででもブッ飛んでいける。その象徴がSASUKE君であり、紀平さんであり、(国際情報オリンピックで銅メダルを取った)清水郁実君なんです。
女子フィギュアスケート女子日本代表の紀平梨花選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)