[ヨハネスブルク/ケープタウン 8日 ロイター] - 南アフリカで8日、議会下院選挙と地方選が実施された。有権者からは、政府関係者の汚職や高い失業率、アパルトヘイト廃止から25年を経てもなお根強く残る人種間の格差への不満が噴出しており、ラマポーザ大統領が率いる与党・アフリカ民族会議(ANC)には厳しい結果が予想される。

政府当局者によると、選挙結果の正式発表は11日になる可能性がある。事前の世論調査は、ANCが下院(定数400)の過半数を維持すると示唆した。ただ専門家は、ANCが打ち出した格差是正のための土地所有制度改革がうまくいっていないことなどから、前回よりも議席を減らすとみている。

ヨハネスブルクで取材に応じた32歳の男性は「私はANCの党員だが、今回はANCに投票しなかった。彼らには目を覚ましてもらわないといけない。国家運営のやり方(が問題だ)。財政資金の処理が不適切で、倫理を失っている」と話した。

失業率が27%を超えることや、犯罪率の高さ、汚職も与党に対する逆風だ。同じくヨハネスブルクの投票所で順番を待っていた77歳の年金暮らしの男性は、南アフリカには変化が求められると指摘。経済や教育、雇用を改善する必要があるとの見方を示した。

ケープタウンではメディア企業で働く43歳の女性が汚職に歯止めをかけるために1票を投じたと述べ、「われわれは団結して、この負の連鎖を止めなければならない。今回は1994年以降で最も大事な選挙だ」と強調した。

ANCに対抗する有力な野党は民主同盟(DA)と経済的開放の闘士(EEF)。2014年の前回選挙の得票率は、ANCが62%、DAが22%だった。ただDAは党内対立が見られ、多くの支持を得られない恐れもある。一方、元ANCのジュリアス・マレマ氏が党首を務めるEEFは、鉱山と銀行の国有化など左派的な政策を掲げている。