[サンフランシスコ 7日 ロイター] - ニューヨークに拠点を置く経済調査会社、ロジウム・グループのリポートによると、中国勢による米国のスタートアップ企業への投資額は昨年、36億ドルと過去最高に達した。これまでの最高額は2015年の28億ドルだった。投資件数は300件超から約270件に減少した。

米国のスタートアップ業界における中国の存在感の大きさが示された格好だが、同リポートは、トランプ米大統領が中国への圧力を強める中、中国勢による投資は今年は減少する可能性が高いと指摘している。

トランプ米政権は2500億ドル相当の中国製品に対して関税をかけたほか、スパイ行為を理由に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)に制裁を科すなど、対中圧力を強化。さらに、「外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)」によって対米外国投資委員会(CFIUS)の審査権限が強化され、外国人による米スタートアップの少数株取得などが新たに審査対象として加えられた。

CFIUSは昨年11月に同法を試験的に適用し始めたばかりで、その影響は今回のリポートには完全には反映されていない。同リポートは、同法は「将来の投資を萎縮させるかもしれない」としている。

CFIUSの元メンバーで、現在はCFIUSの審査を受けている企業に助言する弁護士のスティーブン・ハイフェッツ氏は「ルールが何を意味するのか、解釈はどうなるのか、どのように適用されるのか、大きな不確実性がある」と指摘。ロジウムのリポートも「2019年の残りの期間の途方もない不透明感」を警告した。