[ニューデリー 7日 ロイター] - ロス米商務長官は7日、インドに対する一般特恵関税制度(GSP)の適用を取り消す計画について、インドが報復的な関税で応じれば、世界貿易機関(WTO)のルール上、不適切な措置になると述べてけん制した。

インド訪問中のロス長官はまた、地元テレビ局CNBC─TV18に対し、インドの新たな電子商取引(EC)規制は米国の今後の対インド投資に悪影響を及ぼす可能性があると指摘。ただ、米企業が将来的にインドから防衛関連の契約を取り付けることに期待も示した。

インド政府の当局者らは、トランプ米大統領が3月に表明した通りにインドへの特恵関税を撤回した場合、20品目以上の米製品に対する輸入関税を引き上げる可能性を示唆してきた。

インドはGSPによる世界最大の恩恵国で、GSPを利用したインドからの輸入は最大56億ドルに上る。

ロス氏は「WTOルールの下ではインドによる報復は適切とはされないだろう」との見解を示した。また、GSPの適用取り消しに関する決定は、米国が提起した問題にインド政府が対応すれば、覆される可能性があるとも述べた。

インドは電子商取引に関し、企業が出資先企業を通じて商品を販売することを禁じる新たな規制を導入。また、クレジットカード大手などに対し、インドでの決済サービスのデータは国内のみで保管することを義務付けている。

ロス長官は、両規制は米小売大手ウォルマートや米マスターカード<MA.N>といった米企業を差別していると批判。公正な競争環境をつくることが米当局の責務だとした上で「インドがどれほど多くの新規投資を失うことになるかは、知ることが決してできない」と警告した。

これより先、ロス長官はニューデリーで開かれたビジネス会合で、データの国内保管を巡る規制や米国から輸入される医療機器の価格に対する上限設定が貿易障壁になっているとしながら、インド政府が総選挙後にこうした障壁に対応することにコミットしていると述べた。

「われわれの役割はインドで事業を行う米企業に対する障壁を取り除くことだ」と強調した。

インド総選挙は19日まで投票が行われ、23日に開票される。

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