【森岡毅】なぜ日本人は弱くなったのか

2019/4/30
USJの再生で名を馳せた、森岡毅氏。現在は「刀」を設立し、沖縄テーマパークのプロジェクトなどを推進している。この令和時代に日本人に求めるられる「生き方」とは何か。『苦しかったときの話をしようか』を上梓した森岡氏に聞いた(全5回)。

このままだと嫌な時代がやってくる

──平成という時代をどう総括しますか?
私は全くポジティブにとらえていません。停滞の30年です。
日本は世界のGDPの2割近くを占めた時代もあったのに、今は6%程度。消費税以下になってしまいました。
この先どうなるかを考えると、みんなゾッとしたほうがいいと思います。このままだと確実に嫌な時代がやってきます。
嫌な時代とは何かと言うと、普通の人が普通に暮らせなくなる時代です。
もっと分かりやすく言うと、アメリカの低所得者層が格差社会の中で暮らしているような状況にどんどん近づいていくということです。
森岡毅(もりおか・つよし)/刀 CEO 1972年生まれ。96年P&G入社。P&G世界本社勤務などを経て、2010年にUSJ入社。 CMOとして同社を再建。17年、マーケティング精鋭集団「株式会社刀」を設立。著書に『マーケティングとは「組織改革」である。』など
かつての日本のいいところは、普通の人が、普通に頑張れば、普通に豊かに暮らしていけたことです。
その基準はいろいろありますが、例えば、真面目に頑張って働けば、家庭を持って2人の子どもを育てて、大学まで出せました。この昭和の標準家庭のイメージはリアルだったのです。
しかし、これからは、どんどん二極化が進んで、超二極化していくと思います。普通の人が大して稼げなくなるおそれがあります。
なぜならば、日本のパイ自体が相対的に小さくなって、日本の中で1人当たりのパイを食い合う時代になるからです。そうなると、殺伐としたどこかの国みたいになってしまうと思います。