【澤円】人間は結局「五感」で判断される。今すぐできるセルフケア

2019/5/17
一流ビジネスパーソンやトップ営業マンたちは、自身のファッションや清潔感がビジネスに与える影響を常に意識している。
多くの人間と会い、「第一印象がすべてを決める」というプロ意識と相手に不快な思いをさせないという気遣い、セルフプロデュースの意識の表れだからだ。

しかしながら、ビジネスパーソンのセルフケア意識に格差があるのは否めない。次のフェーズを目指すビジネスパーソンが気をつけるべきポイントは一体何なのか。

プレゼンテーションの名人として知られる澤円氏に、今すぐ始められるセルフケア術を聞いた。
澤円(さわ・まどか)/立教大学経済学部卒業。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。著書に『あたりまえを疑え。−自己実現できる働き方のヒント−』(セブン&アイ出版)ほか。

ロン毛=ハイリスク・ハイリターンな自己プロデュース

──澤さんといえば長い髪の毛が特徴的ですが、プロデュースの一環として髪形は意識されているのでしょうか?
 はい。最初は「長髪にするぞ!」と意気込んでいたわけではなくて、結果的に髪の毛が伸びてしまっただけなのですが、髪を伸ばしたことで2つの効果がありました。
 まずは一発で覚えてもらえること。たとえ名前を覚えていなくても、身ぶり手ぶりで皆さん僕のことを紹介してくれます。「よくステージでプレゼンしてるロン毛の人」と。印象づけという意味でいうと、すごくプラスになっています。
 プレゼンテーションがうまい人は、そこそこいる。でも、プレゼンができて、技術が分かって、かつロン毛となると、あんまりいない。髪形が一つの“タグ”になっているのは間違いないですね。
 もう一つは、プラスでもありマイナスでもある諸刃の部分なのですが、手を抜いたらものすごくネガティブな方に振れること。
 例えばコミュニケーションで手を抜く──つまり無礼な言葉を使ったりしたとき、他の人だったらスルーされるかもしれない。けれど、僕の場合は「ああ、やはりああいう格好をしているから」とネガティブに受け取られるリスクがある。
 なので、相手のことを考えて、快適に会話ができる状態を自分で意識するようになりました。
 まさに「ハイリスク・ハイリターン」な自己プロデュースだと思います。
──これからの時代はますます自己プロデュースが求められると思うのですが、どんな点に気をつけたらいいのでしょうか?
 まず、なりたいロールモデルがいるかどうか。自分もあんなふうになりたいと思うモデルがいれば、パーツでもいいのでまねしてみることから始めてみてはどうでしょう。
 なりたい自分や格好いいと思える姿をイメージできて、言語化できているか。それができればより体現しやすくなると思います。
──澤さんはどんなモデルを意識されているのですか?
 僕のロールモデルは、女性が多いです。僕は名前が円(まどか)ですし、三男坊で末っ子で、女の子を期待されて生まれてきたこともあって、「女性ならどう考えるんだろうか」と考える癖が昔からありました。
 僕は華やかな色のシャツを男性が着てもいいと思うし、長い髪形に合わせるとなると、いわゆる通常のビジネスパーソンとは少し違うテイストのものを取り入れるようになります。
 日本で初めてパーソナルスタイリストとして活動されている政近準子さんもおっしゃっていましたが、ファッションというのは、ある意味生き様なのです。生き様をどうプロデュースするのかということです。
──つまり、「見た目に気を使わない=その生き様を捨てている」ということだと。
 容易に手に入れることができるものを「ローハンギングフルーツ(低いところに実っている果実)」というのですが、ファッションはまさにそれ。この事実に気づかないのは実にもったいないこと。
 例えば、肉体改造や整形はハードルが高いけど、ファッションや普段のデイリーケアはハードルが低い。
  ハードルが低いことすら手を抜いてしまったら、自己プロデュースの「いろは」の「い」が抜けている状態になると思うのです。
 一般的な感性からすれば見た目はそんなにきれいとは言えないけれど、別の形ですごい個性が発揮できている人はごくたまにいますよ。けれど、それを目指すよりは、まずは普段からできることをやる。それもたいして時間がかからない投資でできるわけなので。
 それから、鏡を見る習慣をつけることは、大事なポイントではありますよね。これ、意外とやっている人は少ないと思う。もっと自分に興味を持つと、自分の魅力を再発見できるかもしれません。

人間は結局「五感」で判断される

──ビジネスパーソンは“見た目”に関して、どんな点に留意すべきなのでしょうか?
 日本は子どもの頃から異常なまでの同質性を求める国です。小中高は校則で同一性を強制するし、社会人になっても男性は黒っぽいスーツばかり。僕が勤めている会社がある品川の港南口は、朝晩のラッシュ時など本当に異様な光景です。
 同じような服装の集団が何万人と同じ方向を向いて歩いている。その異常なまでの同質性に、なぜか自分の身を置いてしまう。そんな働き方をしている一方で、「イノベーションを起こさなくては」と言うわけですよ。
 個性をつぶしておいて、イノベーションをどうやって起こすんだという矛盾があるわけです。
(写真:ooyoo/iStock)
 なので、まずはお互いが違うということをお互いが許容する。全員がお互いの個性を尊重するというマインドセットを持つことが、重要なポイントです。
 ロン毛でもいいじゃない、ピンクのスーツでもいいじゃない。あなたはあなた、私は私というふうに。
 そのかわり、お互いにコラボレーションをして、ビジネスや世の中に対してプラスになることを生み出していこうと切り替えていかなくてはいけないと思っています。
 個性を出すこともそうですが、他人の個性を否定しないというマインドセットも必要なのです。
 「違う」ことを許容して、それも含めて相手をきちんと受け入れて、さらにそれを面白がる。ただ単にスルーするのではなくて、その個性すらも尊重して、それをうまく生かす。
 その個性同士がぶつかって出てくる何か化学反応みたいなものを尊重していくのが大切なのだと思います。
──他人を許容するということにつながりますが、一方で、ビジネスの場面で、ある意味不快感を与えてしまうことは個性ではないのかなと思うのですが、いかがでしょう?
 そうですね。五感に対して不快なものを与えるのは個性ではないですね。ただの迷惑です。
 特に嗅覚(きゅうかく)は見落としがちです。なぜかというと、指摘しづらいからではないかなと思います。「あなた、汗臭いよね」とはやはり言いにくい。初対面の相手であれば、なおさらです。
──タクシーでよく移動される澤さん。先日もニオイが気になった瞬間があったそうで。
 はい。この間、信じられないくらい汚い個人タクシーに乗ってしまいました。イヤホンをして電話会議に出ながら乗ってしまったので、降りるタイミングを逃してしまったのですが、耐えられないくらい臭かった。
 車内のクリーニングもきちんとしていないのでしょう。見た目も不潔な上に猛烈なニオイがしまして、もう悶絶ですよ。本当に生き地獄でしたね……。

1.5倍くらいケアの時間を長くする

──澤さんご自身は、ニオイに関するケアは何かされていますか?
 ニオイは自分ではなかなか気づけないもの。逆に、近くにいる人間のニオイはよくわかる。だから僕は一番近い距離にいる妻に全部チェックしてもらっています。「昨日ニンニク食べた?」とか「飲み過ぎた?」と言われたら、必ずケアをします。
──もしパートナーがいなかったり、指摘してくれる家族や友人も少なかったりする方はどうニオイのチェックをすればいいのでしょうか?
 ニオイをチェックするというのは、相当精神的な距離が近くないと頼めない話だと思い ます。ということは、近しい人間関係を構築するしかないのかなと。「悪いけど、もし臭かったら言って」と言える関係をどれだけつくれるかではないでしょうか。
──「ケアをしていくための人脈」が大事になってくるということですね。
 コンサルしてくれるような場所に行くのも手です。例えば美容院もその一つ。美容師がいきなり初見のお客さんに対して「お客様は臭いですね」とは言わないと思いますが、まずいなと思ったら、恐らく遠回しにでもアドバイスしてくれるはず。
 ニオイに関してやたら神経質になることはないと思うのですが、ベースさえ整えておいたら、そんなに悲劇的なことにはならないと思います。
 ちょっと気になっているのであれば、1.5倍くらいケアの時間を長くするとか、手間をかけるとかしてもいいのではないでしょうか。

高パフォーマンスで仕事を続けるため、セルフケアを習慣化しよう

──そのほか、これだけは気をつけてほしいというポイントを教えてください。
 いまの日本では、ほかの人よりも爪やヒゲ、襟足といったパーツがちょっと清潔だったり、服装や髪形がちょっとおしゃれだったりするだけで、差別化要素になる。
 大切なのは、そこを気づけるかどうか、細かいところをやるかやらないかということなのです。
 結局、人間というのは何で価値判断をするかというと、最終的には五感なのです。五感は本能に直結するところなので、五感に対して快適なものは、大抵の場合受け入れてもらえるわけです。
 あともう一つは、セルフケアを習慣化すること。自分の体とは一生付き合うことになるわけで、大事に使えば長く使えるわけです。
 最後までいい状態にメンテナンスし続けると、高パフォーマンスで仕事も続けられる。自分の体を清潔に保つなど、セルフケアは習慣化をした方がいいですよ。
 僕は30歳から空手を始めて、体形を維持することはある意味習慣化されていました。空手は、立ち姿や自分のバランスを徹底的に教え込まれます。
 美しく立つことは、要するに機能的に立つこと。
 僕は去年1年間で287回のプレゼンテーションを人前でしましたが、だらしなく立って話をする人よりは、立ち姿が美しい方が印象はいいと思います。
 いずれにせよ自分の見た目や状態に対して、もっと興味を持つことです。
プレゼンテーションの名手である澤氏がビジネスパーソンにいつもアドバイスしているのは、「プレゼンテーションは贈り物だという認識を持つこと」。贈り物を届ける気構えでいると、見た目の印象も当然のことながら気をつけるようになるという。

中でも万人に喜ばれる贈り物といえる清潔感。見た目は鏡でセルフチェックできても、ニオイだけは自分で気づきにくい。そんな時、ニオイ対策できるボディソープは手軽に取り入れられるセルフケアツールだ。
 「ここ最近、ボディソープは『デ・オウ』を使っています。男性向けの商品はやたらメントール感の強いものが多くて、体が冷える印象があったのですが、『デ・オウ』は全然そんなことがなくて、非常に使い心地がよかった。泡切れもよく、流した後のネトネト感もなかったので、使いやすくて。これからも使い続けることになると思います」と澤氏。
 デ・オウ ウォッシュシリーズは男性用ボディウォッシュ売り上げNo.1を獲得(※1)。選ばれる理由は、ニオイの原因を徹底洗浄する工夫が施されているからだ。
 まず、デ・オウは、3つの異なる大きさの穴を持つ「トリポーラス™」(※2)という吸着炭(吸着剤:薬用炭)を世界で初めてボディウォッシュに配合。効果的にニオイのもととなる汗や皮脂、汚れなどを絡め取る。
 さらに、「イオンポリマー」(※3)配合の泡が肌にこびりついた皮脂や汚れを浮かせるので、ニオイのもとを洗い流すことができるのだ。
 そして、殺菌成分(※4)がニオイの原因菌を殺菌。爽やかなシトラスハーブの香りなので、加齢臭などの嫌なニオイをスッキリさせてくれる。
 これからますますニオイが気になる季節がやってくる。早めのケアを心がけよう。
※1…インテージSRIデータ 男性用ボディウォッシュ市場売上金額 2014年3月~2019年2月 ※2…「トリポーラス™」はソニー株式会社の商標です。 ※3…粘度調整剤 ※4…殺菌有効成分(ベンザルコニウム塩化物)
(執筆:五月女菜穂 編集:奈良岡崇子 撮影:矢野拓実 ヘア&メイク:望月光 デザイン:田中貴美絵)