みずほ大幅下方修正が示す銀行の苦境、投資家が注視すべき「減損リスク」
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銀行の苦境は、店舗減損などある意味バーチャルな数字ではなく、総資金利ザヤ(運用利回りと調達利回りの差)に現れる。減損などは、(少し誇張して表現すれば)過去から水面下にある機会損失の塊をその決算で表現した恣意性の余地がある評価性損失に過ぎない。
グローバルな景況感悪化が、世界の銀行の利ザヤにネガティブに働くことは確かだが、マイナス金利に長期間晒された邦銀の基礎体力が奪われていることは明らか。
とはいえ、論考にある減配リスクに関しては、さほど高くないと思う。「日本の株式相場の回復にも、金融・銀行株の一段の低迷は阻害要因となる。東証1部の時価総額全体に占める金融・銀行業のシェアは、以前より下がっているとはいえ、現在でも一定の規模(約1割)あるからだ(図2参照)。これらの点を踏まえると、追加緩和での利下げはリーマンショック級の出来事がない限り採るべきでない禁じ手に思える。どうしても追加緩和が必要となった場合、銀行決算をこれ以上傷めるような内容は極力避けるべき」
金融政策はマクロ経済安定のためであり、株価のためでも銀行利益のためにやるものでもない。
銀行の経営危機から金融危機が心配なら、配当なんかさせずに自己資本を積み上げさせればよいだろう。減損が必要になるのは投資回収のためのキャッシュフローが不十分と認識されるためだから、その最大の変動要因たる収益が低下して回復の見通しが薄いことの方が問題。
低金利は収益減の最も大きな環境要因だが、環境のせいにするのなら、経営者は要らないという論法になる。その意味では、これまでバンキングからの資金収益依存の一本足打法だった多くの地銀は、収益源多様化が遅れたとの謗りは免れないだろう。追い詰められてからでは大きな手は打ちにくい。
他方、減損対象となるのは比較的新しい投資、つまり建て替えた本支店や新設・更新したシステムが中心と見られる。これらの意思決定時の見通しの的確性も追及されるだろう。すでにそうした地銀の一部は金融庁から監視されている。
銀行という「業態」にこだわり続けるのは不可能と思われる。