日本郵政社長、民営化に「民業圧迫との批判弱まれば」
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独占的に特定の事業を行っていた電電公社や専売公社と、傘下に金融2社を抱える日本郵政は、そもそも事業の性質が異なります。郵政民営化の本丸は、政府の信用を背景にお金を集め、財政投融資を通じて政府の便利な財布になっていた郵便貯金と簡易保険、なかでも郵便貯金を政府の影響から切り離し、資金を民間に取り戻すこと。だから、民営化を決めた当初、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は日本郵政から平成29年9月を期限に完全に切り離し、既存の民間銀行と競争の基盤を揃えることになっていた。
ところがその後、郵政民営化への意気込みが鈍ったタイミングで法律の改正が行われ、いまでは金融2社の扱いは「郵政事業に係る基本的な役務の確保への影響を勘案しつつ出来る限り早期に」と切り替わっています。政府による3分の1超の株式保有が法律で決められている日本郵政が政府の影響力を受け続けるであろうことは明らかで、郵政事業への影響を云々されるゆうちょ銀行、かんぽ生命だって結局は政府の影響下。当初の意図に沿ってこの2社が日本郵政から完全に切り離されない限り、たとえ日本郵政への政府の出資比率が5割を切ったとしても『民業圧迫との批判』は免れないように思います。
悩ましいのは、政府の信用をバックに巨大になり過ぎたゆうちょ銀行の事業が『民業圧迫との批判』に晒されて立ち行かなくなれば日本経済そのものが尻もちをつきそうですし、資金の運用面を含めて事業範囲を拡大して成功を収めれば、競合する地銀等が圧迫されて経営に行き詰りそうなこと。今のまま経営の自由度を高めることを潔しとはしないけど、舵取りは本当に大変だろうと察します。