【秘話】最強の投資家に学ぶ、「流行に巻き込まれない」技術

2019/4/20
異形のベンチャーキャピタリストがいる。
本多央輔。日米中に拠点を置くベンチャーキャピタル(VC)、DCMベンチャーズの日本代表だ。
スタートアップ投資の“流行”には目もくれず、創業間もない起業家の前に突然現れ、ビジョンを問いただす。
そして、彼の眼にかなったスタートアップは、メガベンチャーへの道を歩み始める。
Sansan、freee、FOLIO、ビザスク。
ポートフォリオには、今をときめく旬のベンチャーの名が連なる。そして、そのほとんどは、社員数ひと桁、売り上げもまだない時期に彼に「発掘」されている。
自らをベンチャーの界の「隠れキャラ」と笑う、本多央輔とは何者なのか。
めったにメディアに姿を見せない本多のロングインタビュー、第二回目の本日は、本多の日々の生態と、流行に背を向ける「孤高の投資哲学」へと迫る(全3回)。
*第一回
本多央輔(ほんだ・おうすけ)DCMベンチャーズ ゼネラル・パートナー
幼少期を東京、テキサス、カリフォルニアで過ごす。三菱商事で自動車部門の海外営業や機械部門の新規事業開発などを担当。その後グロービス・キャピタル・パートナーズを経て2007年DCMに入社。柔道や極真空手の稽古を楽しみ、両競技の黒帯を保持。

「教科書」を、ちゃんと読む

本多 どういうふうにして、化ける企業を探すか。特別なことは、何もやっていないんです。やっているのは、「教科書」に書いてあるようなことばかり。
──「教科書」ですか。ベンチャーキャピタリストとしての、教科書がある。
本多 そう。世の中に、たくさんあるじゃないですか。「ベンチャーキャピタルの実務」みたいな。
例えて言うなら、料理みたいなもの。レシピとは、すなわち教科書です。ベンチャー投資の世界では、教科書すら、ちゃんと読んでない人がいっぱいいる。ちゃんと読んだほうがいい。
例えばカレーライスを作るとして、レシピを読まずに「材料は、これとこれでしょ。じゃあ、やってみようぜ」と作り始める人がいる。すごくセンスがあれば、それもいいでしょう。
でも1から10までステップがあるとすると、教科書をしっかり理解すれば、5くらいまでは効率的に行ける。