[シドニー 16日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が公表した4月理事会の議事要旨では、インフレ率が低水準にとどまり失業率が上昇し続けた場合には利下げが「適切に」なるものの、金利を目先変更する強い根拠ない、との見方が示された。

中銀は、短期的に金利引き上げが必要になるシナリオの可能性は低いとの認識で一致したとし、先月よりもハト派的な姿勢を示した。前月は、金利上昇と低下のリスクは以前よりも均衡しているとの見方を示していた。

中銀は4月の理事会で、家計債務が高水準で不動産価格が下落していることを踏まえると、金利のさらなる引き下げが経済にもたらす効果はこれまでよりも小さいと認識。それでも、利下げにより、為替レートの下落と借り入れ金利低下による景気下支え効果が期待でき、他の支出のための資金が確保できるとの見方を示した。

中銀のハト派スタンスを受けて、豪ドル/米ドル<AUD=D3>はこの日の安値となる0.7140米ドルをつけた。

金融市場は、10月までに25ベーシスポイント(bp)の利下げがあるとの見方を織り込む水準となった。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マーセル・ティエリアント氏は「議事要旨では、中銀が利下げに踏み切るにはそう多くの要因が必要ではないことが示された」と述べ、来年初めまでには金利は0.75%になると予想しており、8月から利下げが始まるかもしれないと指摘した。

世界経済の減速を背景に多くの中銀はここ数カ月、ハト派姿勢に転じている。

個人消費低迷を主因とした景気減速と労働市場の堅調の板挟みになっていた中銀は2月、緩和の可能性も示唆した。4月の会合では、理事会メンバーは「短期的に金融政策を調整する強い根拠はない」と結論付けた。

豪中銀は、失業率とインフレ率双方の段階的な改善が中心的なシナリオだと再度表明する一方、家計の可処分所得の上向きが引き続き見通しにとり重要な要素となると強調した。

国内の賃金の伸びは年率2.3%で、2%近辺のインフレ率をわずか上回っている状態。中銀はインフレ率が当面は低水準にとどまると予想している。

*内容を追加しました。