[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は15日、米連邦準備理事会(FRB)は物価上昇が鈍化すれば、インフレ支援に向け利下げを実施することもできるとの認識を示した。ただ、こうしたことが現実のシナリオになる公算は小さいと述べた。

総裁は講演後に記者団に対し、現在の金利の水準に違和感はないとしながらも、柔軟な政策運営が可能になるようインフレが上向くことを望んでいると述べた。

ロイターの質問に対しては、食品とエネルギーを除いたインフレ率が1.5%に低下した場合、成長率が長期トレンド付近にあり失業率が低水準にとどまっていても、利下げの根拠になると述べた。ただ、インフレの鈍化は現時点で想定していないとした。

エバンズ総裁はこれに先立ち、FRBはインフレ率が一時的に2%をやや超えるのを容認すべきとの考えを表明。ニューヨークで行った講演で「政策は最大雇用義務を達成する点で成功しているが、インフレ目標に関してはあまり成功していない」と述べた。

「この問題を解決するために、FRBはインフレ率がしばしば2%を超えることを受け入れるべきだと思う。明白な物価上昇の勢いがなく、2%に戻る道が適切に管理されている限り、2.5%のコアインフレ率でも安心だと言えるだろう」と述べた。

米中通商交渉の行方など「不透明感の高まり」を踏まえ、一段の利上げに忍耐強く臨むFRBの姿勢に支持を表明した。「現時点で上振れシナリオより下振れシナリオに伴うリスクが大きくなっている」と指摘した。

成長が潜在水準近辺なら「幾分かの追加利上げが次第に適切となる可能性」があると予想。ただ、「活動が想定以上に軟化したり、インフレやインフレ期待が低すぎたりする場合には、政策を据え置くか、目標達成に向け適切な緩和供給を行うため、恐らく緩和さえも必要となる可能性がある」と話した。

*内容を追加しました。