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“普通”を極めろ。『家、ついて行ってイイですか?』の企画術
2019/5/4
終電を逃した人に「タクシー代をお支払いするので、家、ついて行ってイイですか?」と聞く。OKならそのまま一緒に家に行き、話を聞く。たったそれだけの番組が「※視聴質」で、NHK大河ドラマ『西郷どん』、日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』に続く3位になるほど人気だ。
『家、ついて行ってイイですか?』や『TVチャンピオン』『空から日本を見てみよう』などのヒット作に関わったテレビ東京・高橋弘樹プロデューサーに、刺さる企画やコンテンツの作り方、そしてこれからの映像クリエイターのあり方を聞いた。
※視聴質=人体認識技術を用いて「どのくらいの人が、集中して番組を見たか」を可視化した数値。TVISION INSIGHTS社による調査。
やりたい。その欲望から始まる
──これまで数多くのコンテンツを作ってこられたと思います。ヒットする企画のアイデアはどのように生まれるのですか?
高橋 僕も毎回ヒットを飛ばすわけではないですが、企画の考え方はシンプルです。「やりたい」という欲望です。
──「やりたい」だけで企画になりますか?
もちろん、みんなが普通にできることは企画にならない。例えば、僕は今すごく「和幸」のとんかつが食べたいんですけど、この取材が終わり次第、すぐに食べにいけますからね。
──ごめんなさい。取材、早く終わらせます。
そういう意味ではないですよ。要するに、とんかつは今、誰でも食べられるので別に面白くないわけです。
日本で海外旅行がまだ珍しかった頃は、ハワイ旅行をテレビでやるとヒットした。でも今は豊かになったから、海外も行けるし、高いホテルだって1泊ぐらい泊まれる。豪華客船だって頑張れば一度は乗れるかもしれない。
できないことはだいぶ減ってきた。なので「やりたいけど、やっちゃいけないこと」の方が近いですね。
企画や演出という仕組みを使って、やっちゃいけないことを合法化するイメージです。
すっぴんの人妻が見たかった
『家、ついて行ってイイですか?』も、きっかけはシンプルです。深夜にすっぴんの人妻の奥さんを見る機会があったんですね。
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この連載について
新時代・令和の幕開け。景気の停滞、少子高齢化…様々な問題が浮き彫りとなった平成を経て、令和は価値観の変革が起き、社会が大きく変わるだろう。変化の時代を、どう生きるか。各界のトップランナーのインタビューから、そのヒントを探る。
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