[ワシントン 11日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は11日、米国が自動車関税を発動して新たな貿易戦争が起きれば、米中貿易摩擦よりもはるかに大きな打撃を世界経済に与える可能性があるとの見解を示した。ロイターのインタビューで語った。

同氏は、自動車関税はより多くの国の輸出に影響を及ぼし、多数の貿易パートナーが米製品に報復関税を課す事態になるだろうと指摘。「世界経済の回復が見込まれる時期に自動車関税がどのような影響を与えるのか懸念している」と述べた。

また、貿易摩擦が自動車セクターに波及すれば、世界の製造業のサプライチェーンにより広範な影響が及ぶとし、「米中貿易摩擦よりも、はるかに大きな打撃を世界経済に与えることになる」と指摘した。

米商務省は2月、通商拡大法232条に基づく自動車関税に関する報告書をトランプ大統領に提出した。トランプ氏は報告書提出から90日以内に内容を精査し、勧告されている措置について最終決定する必要があり、輸入自動車と自動車部品に最大25%の関税を課す可能性がある。

関税が発動された場合、最も大きな影響が及ぶのは2019年下期となり、IMFが主要中銀の利上げ休止で世界経済の回復を見込む時期と重なる。

ゴピナート氏はまた、米中が通商合意に至り、米中製品への関税が撤廃された場合、世界経済を支援する可能性があるとも述べた。