[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米配車大手ウーバー・テクノロジーズ<IPO-UBER.N>は11日、新規株式公開(IPO)の申請書を公表した。サービス利用者は世界で9100万人に上るが、成長は減速傾向にあり、黒字化を実現できない可能性があることを明らかにした。

米証券取引委員会(SEC)に提出された申請書「S─1」ではウーバーの詳しい財務状況が初めて明らかになった。過去3年間での同社の急成長がみてとれる一方、一連の不祥事や他社との競争激化が利用者の維持や拡大に向けた計画に重しとなっている状況も浮き彫りになった。

ウーバーは文書の中で、営業経費は「予見可能な将来にわたり大幅に増加」する見込みで、「黒字を達成できない可能性がある」との見方を示しており、黒字化が遠いことも明らかになった。2018年の事業からの損益は一時利益を除いたベースで30億3000万ドルの赤字となった。

文書によると、配車と食事宅配サービス「ウーバーイーツ」を含む同社プラットフォームの平均月間アクティブユーザー数は18年末時点で9100万人だった。17年比で33.8%増加したが、伸びは前年の51%から鈍化した。この数字には配車サービス以外の利用者が含まれているものの、同業リフト<LYFT.O>が公表した1860万人と比べると5倍近い規模だ。

ウーバーの18年売り上げ高は前年比約42%増の113億ドルとなったが、増収率は前年の106%を下回った。配車の予約総額は500億ドルだった。

IPOの規模は特定しなかった。

ロイターは今週、同社が約100億ドル相当の株式を売却する計画で、900億─1000億ドルのバリュエーションを目指していると報道した。投資銀行は当初ウーバーに対し、評価額は最大1200億ドル相当になる可能性があるとの見方を示していた。

ウーバーのIPOは、2014年に250億ドルを調達した中国電子商取引大手アリババ・グループ<BABA.N>のIPO以来の大きさとなる。

配車サービスではウーバーに先駆けてリフトが上場したが、11日の終値は61.01ドルと、公開価格を15%下回った。

ウーバーは今後、投資家向け説明会を開始する。ロイターはウーバーが4月29日の週に投資家向け説明会を開始し、5月上旬のプライシングとニューヨーク証券取引所への上場を目指すと報じている。

ウーバーは財務を巡る質問に答えるだけでなく、相次ぐ不祥事を受けて同社の企業文化や事業慣行を是正したことを投資家に示す必要がある。

同社はIPO申請文書で、「評判を損なう出来事」によって米国とカナダの配車サービス市場における同社の地位が「著しく影響を受けた」と指摘し、他の多くの市場では同業他社の値引きが脅威になっていると明らかにした。

市場シェアは大半の地域で18年に低下した。ただ、低下のペースは鈍化したという。米国・カナダでは65%超のシェアを握るとした。リフトは米国でのシェアを39%としている。

*内容を追加しました。