【プレスリリース】水蒸気バブルで液体を意のままに操ることに成功 ―泡で動かす強力マイクロバブルポンプ―
コメント
注目のコメント
Mastunagaさん、ご指名ありがとうございます。
流体力学、界面化学の知見と、今まで携わった気泡の研究の知見から私なりに意見を述べさせていただきます。
背景
流体力学を学んでいる人には「マイクロオーダーの流路で流体を流すことは難しい」という共通認識があります。
円管を液体が流れる時、管径の5乗に反比例して摩擦が大きくなるからです。
マイクロオーダーでの移動現象は特殊性が高くマイクロ流体力学ともカテゴライズされたりもします。
表面張力の差を使って流動させる場合も多いとは思いますが、電気を流して流体を流す「電気浸透流」の研究も多くなされています。電気浸透流はまた別の機会でpickしたいです。
利点
・壁面から垂直方向に急激に離れていく流れは珍しいです。少なくとも私は初めて聞きました。他の事例があるなら知りたいです。
・レーザーの性能次第ではかなりピンポイントで強い流動を起こすことができそうなこと。
正直、利点はもっとあるかもしれません。笑
課題
・マランゴニ対流の制御の難しさ。
熱々の味噌汁がグルグルしている流れや、グラスワイン壁面で見られるいわゆるワインの涙は、表面張力の差により発生するマランゴニ対流として知られています。
マランゴニ対流で流体を移動させる研究は数多くあります。共通の課題として「狙った方向に毎回同じように移動させることが困難」であったり、「速度の制御が困難」であることが多いです。表面張力の話をするとまた長くなりますが、マランゴニ対流の制御に関しては多くの議論があるはずです。
感想
先ほども述べましたがマイクロオーダーでの流動は制御が難しいだけでなく、条件が限定的である場合もあるので、ポイポイ実用化できるものばかりではないとは思います。でもこの分野は昔からの流体力学、界面化学の知見、最新の分析化学の技術がミックスされて、私はかなり大好きな分野です。今回の京都大学の報告を読んでいても大変楽しかったです。