[ワシントン 27日 ロイター] - 米鉄鋼大手ニューコア<NUE.N>、ユナイテッド・ステーツ・スチール(USスチール)<X.N>、コマーシャル・メタルズ<CMC.N>と欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタル<MT.AS>の各首脳は27日、米議会の鉄鋼議員連盟に対し、海外から輸入する鉄鋼の高関税を維持するよう訴えた。

上院共和党内では、トランプ大統領の関税発動の権限を制限するための取り組みが表面化している。

4社の最高経営責任者(CEO)は、米通商拡大法232条に基づく鉄鋼関税の効果により、米鉄鋼業界は長年にわたる海外製品のダンピング(不当廉売)のダメージからようやく立ち直りつつあるため、関税を長期間維持することが必要だと訴えた。

トランプ大統領は1年前、国家安全保障を理由に鉄鋼に対する25%の関税を発動。これを受けて中国、カナダ、メキシコ、トルコ、欧州連合(EU)などは報復措置を講じた。

CEOらはこの日の公聴会で、米国の鉄鋼メーカーが最も問題視している中国鉄鋼業界の過剰生産能力について、是正策がほとんど講じられていないと強調。関税を撤廃すれば、米国市場には再び不公平な条件で輸入された製品があふれることになると主張した。

USスチールのデビッド・ブリットCEOは「今は問題に目をつぶるべき時ではない」と訴えた。「関税であろうと厳格な輸入割当枠であろうと、232条を引き続き全ての諸国に適用すべきで、特に最大の輸入元はそうだ。最大の同盟諸国でさえ、中国などからの鉄鋼製品の経由国になる可能性がある」とした。

カナダとメキシコは自国製品に関し、米国の鉄鋼・アルミニウム関税の撤廃を求めて交渉している。トランプ政権は関税の代わりに輸入割当枠を採用して輸入量を制限する考えを示しているが、カナダとメキシコは反発している。

カナダ政府当局者によると、カナダのフリーランド外相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は今週の会談で、この問題についてほとんど前進できなかった。

一方、米上院共和党の一部議員らは、トランプ氏が通商拡大法232条に基づき関税を発動する権限を制限するための法案の策定に取り組んでいる。

上院財政委員会のグラスリー委員長(共和、アイオワ州選出)は26日、通商問題に関する議会の憲法上の権限を復活させるための取り組みを主導すると表明。議会で延長されない限り、通商拡大法232条に基づく関税の適用期間を限定することを目指している。