[ワシントン 27日 ロイター] - 米当局者は27日、米中通商協議は議題となっている全ての分野で前進しており、強制的な技術移転に関する問題で中国側がこれまでにない提案を行ったと明らかにした。ただ、課題も残されているとした。

ロイターが話を聞いた当局者4人のうちの1人は、中国がこれまでより踏み込んだ提案を行ったとし、「中国側は強制的な技術移転に関し、範囲や詳細の両面でこれまでにない話をしている」と語った。

ロイターは前月、米中通商協議について、強制技術移転とサイバー攻撃を通じた技術窃盗、知的財産権、サービス、為替、農業、非関税障壁の6分野で覚書が準備されていると報じていた。

前出の当局者は「1カ月前の文書と現在のものを比較すると、全ての分野で進展があった。まだ目指すところには達していない」と述べた。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン米財務長官は協議再開のため、28日に北京入りする。さらには来週にもワシントンで協議が予定されている。

前出の当局者は、中核的な問題で進展がある限り協議は継続するだろうとの見方を示した。

別の当局者は「5月、6月まで続く可能性もあるが、誰にも分からない。4月に(合意が)あるかもしれないし、われわれにも分からない」と述べた。知的財産と最終的な合意の履行の問題が課題として残っているという。

<一部の関税は維持へ>

トランプ大統領は前週、米中通商協議での合意事項を中国が確実に履行するよう、中国製品に対する関税を「かなりの期間」維持する可能性があると明らかにしている。

2人目の当局者は「一部の関税は維持する見通し」だと述べた。「これに関しては一定の譲歩を行うことになるが、全ての関税を撤回することはない」とした。

1人目の当局者は「これが解決すべき課題であることは明白で、最終合意の重要な要素になるだろう」と語った。また、合意後の履行の問題について、違反があった場合に双方が申し立てを行い関税を適用できる仕組みについて、一定の合意があると述べた。

この当局者によると、トランプ大統領は構造改革を「偉大な」合意に盛り込むことを望んでおり、協議の焦点は中国による米国製品の購入から構造的な問題にシフトした。

米国内で与野党のほか産業界が大統領の対中強硬姿勢を支持しているため、トランプ氏は貿易に関する長年の課題解決に強気に臨むことができているという。

この当局者は合意に楽観的な見方を示した上で、時間が必要だとし、「最終的に合意するまではどちらの方向にも進み得る。大統領は言動を通じ、良い合意でなければ立ち去る構えであることを明確にしてきた」と語った。

*内容を追加しました。