[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は21日、政策金利を0.75%に据え置くことを全会一致で決定した。据え置きは予想通り。国債買い入れ枠も予想通りに4350億ポンドに据え置いた。

また、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)期日が来週に迫るなか、大部分の英企業はEUと条件などで合意しないままに離脱する事態に十分準備ができていると回答したことも明らかにした。

中銀は「経済見通しはEU離脱の形態と時期に大きく左右される」と指摘。合意なしの離脱となった場合、英ポンド相場の急落でインフレ圧力が増大する可能性などがあるとし、金利は上下両方向に動く可能性があるとの見解を改めて表明した。

中銀は金融政策とは別に、約300社の企業を対象に実施した調査結果も公表した。調査では、約80%の企業が合意なき離脱、もしくは移行期間なしの離脱に対し「準備できている」と回答。この割合は1月時点の50%から上昇した。

ただ、多くの企業が合意なき離脱に対する「準備の度合いには限界がある」と回答したことも判明。中銀は「今回の調査で、準備ができていると回答した企業も、合意なき離脱、移行期間なしの離脱のシナリオ下では、向こう1年間に生産、雇用、投資が大幅に落ち込むと予想していることが示された」とした。

今回の金融政策委員会(MPC)会合の議事要旨のトーンは、中銀が2月に示した最新の経済見通しから変化はほとんどなかった。

中銀はブレグジットを巡る不確実性で英国の資産価格と英ポンド相場のボラティリティーが増大し、企業信頼感と投資が損なわれていると指摘。「経済指標は玉石混交となっているが、金融政策委員会が2月に示した見通しは、なお軌道上にあると見られる」とし、「世界的な経済成長、および貿易の伸びの軟化は継続した。一部の主要国が一段と緩和的な政策を発表したことが一部要因となり、世界的な金融情勢は緩和した」とした。

欧州中央銀行(ECB)に続き米連邦準備理事会(FRB)もハト派的な政策スタンスに転換。英中銀の直近の利上げは昨年8月で、世界的な金融危機後の利上げ回数は2回にとどまっている。

英中銀は今回の金融政策委員会でも将来的な段階的な利上げへの意向を示したものの、EU離脱が英経済に及ぼす影響が明らかになってからとなるとの立場を示した。

ロイターがエコノミストを対象に実施した調査では、EU離脱が円滑に行われた場合、中銀は年内に利上げを実施する可能性があるとの見方が示されている。