[東京 20日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は20日の参院財政金融委員会で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれることになれば、「当然、追加緩和を検討していくことになる」と語った。渡辺喜美委員(無)の質問に答えた。

追加緩和の手段としては、長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速など「さまざまな対応が考えられる」とし、その際には「政策のベネフィットとコストを比較考量しながら、さまざまな手段を組み合わせるなど状況に応じて適切な方法を検討する」と述べた。

また、日銀は金融緩和に前向きなハト派か、引き締めを狙うタカ派かを問われ、「大幅な金融緩和を粘り強く続けており、おそらくハト派ということになる」と語った。

16年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入して以降、海外の金利が大きく上昇するような局面でも、日本の長期金利はゼロ%付近で安定的に推移しているほか、貸出金利も既往最低水準で推移。貸出残高も増加していることなどを踏まえ、黒田総裁は「日銀としては、YCCの枠組みを通じて、極めて緩和的な金融環境を作り出し、企業や家計の経済活動をしっかりサポートしている」との認識を示した。

中国経済のシャドーバンキング問題は「ピークアウトして安定した状況になりつつあるように思う」とした一方で「実体経済がやや弱めの動きが広がっている」と指摘した。ただ、すでに大規模な景気対策を決定・実施しつつあることから「先行き、おおむね安定した成長経路をたどる」との見通しを示した。

(伊藤純夫 清水律子)