【解説】アメリカで「巨大テック解体論」が盛り上がる事情

2019/3/20

過激な「公約」に賛同が集まる

10年前、金融業界の強欲と怠慢が米経済を破綻させかけたとき、大方の政治家と世論は少しばかり肩をすくめただけだった。そして、瞬く間にすべては水に流された。
しかし、いまや時代は変わった。
今日、糾弾されているのはグーグル、フェイスブック、アマゾン、アップルといったテック業界の巨人たちだ。庶民のプライバシーを侵害し、市場を寡占し、不用意にヘイトを拡散しているとして、彼らへの風当たりは日に日に強まっている。
その急先鋒が、来年の大統領選に出馬を表明している民主党の議員たちだ。
エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は、巨大テック企業を解体し、残る本体にも厳しい規制を課すことを公約に掲げた。もう1人の立候補者であるエイミー・クロブチャー上院議員(ミネソタ州)も、「アメリカは、重大な独占問題を抱えている」とスピーチしている。
エリザベス・ウォーレン上院議員(Bridget Bennett/The New York Times)
このところ、アメリカではあらゆるテーマが激しい議論の的になっているが、ことIT企業の独占問題に関しては、大勢は決しているように見える。
独占禁止を持ち出すのは、いわば規制の最終手段だ。それでもなお、ウォーレン議員やクロブチャー議員の主張に対する世論は、驚くほど肯定的なのである。