[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が7日の理事会でユーロ圏の経済成長見通しを下方修正すると同時に、予想外の減速が景気低迷に移行しないよう、低金利融資の形で新たな刺激策を準備していることをこれまでになく明確に示す公算が大きい。

ユーロ圏では、世界的な貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明性などが景気を圧迫。企業信頼感はマイナス圏に陥っており、景気後退(リセッション)を巡る懸念が現実化して、イタリアやドイツなどからユーロ圏全体に波及するのではないかとの懸念が出ている。

こうした中、ECBのドラギ総裁がまずは小出しながらも、心理改善に向けた措置を確約すると予想されている。

ECBは昨年12月に量的緩和(QE)を終了させたほか、年内の利上げもあり得ることを示唆。景気支援に向けた措置を打ち出せば、政策を反転させることになる。ただ米連邦準備理事会(FRB)が利上げ休止、および資産縮小の停止を示すなど、世界の主要中銀は政策を反転させている。

ECBにとっての政策反転第1弾は、企業融資の停滞を防ぐための銀行に対する新たな流動性供給となる公算が大きい。こうした措置が実施されれば、利上げ開始は遅延する。市場ではECBは2020年遅くまで利上げに動かないとの見方が出ている。

7日の理事会では、こうした措置の第1弾が発表される公算がある。ただ、すべての詳細が明らかにされない可能性はある。また、ECBは最大の効果が得られる時期を狙うとみられるため、フォワードガイダンスの変更は予想されていない。

ユーロ圏の景気減速の要因の多くは域外に起因するためECBの管轄外にある。また、長期にわたり刺激策を実施し、金利はまだマイナス圏にあるため、ECBが利用できる手段は限られている。

BNPパリバは「ECBが利用できる手段はまだ残されているが、『簡単で、かつコストがかからない』手段は枯渇している」と指摘。「ECBは現在見られている景気減速が主に一時的要因によるもので、こうした要因はすぐに薄れるとの見方を示しているが、このところのデータはこうした見方に反している」とし、「実際、マクロ見通しの悪化はECBの当初見通しよりも広範に及び、かつ長期化しているように見える」とした。

ただECBはこれまでのところ、減速は一時的なもので、減速の要因は春以降は解消するとの見方を維持。一部の指標では安定化の兆しが示されており、ECBの見方は裏付けられてはいる。

ECBは今回の理事会で、ユーロ圏経済を巡る最新のスタッフ予想を公表。ロイターがアナリストを対象に実施した調査では、今年のユーロ圏経済成長率は1.3%と、前年の1.8%から減速する見方が示されている。

ECBは7日1245GMT(日本時間午後9時45分)に理事会での決定事項を発表。その後にドラギ総裁が記者会見を行う。