フォルクスワーゲンとIBMが提携し、複雑な都市移動を手助けするアプリを開発することで合意した。アプリ・ベースの都市交通市場でシェアを獲得するため、自動車メーカー各社が投資を強化している。

技術投資強化で、市場は過密状態

スペインに本拠を置くフォルクスワーゲン傘下のセアト(SEAT)が、IBMと提携し、混雑した都市での移動を手助けするアプリを開発することで合意した。
セアトのルカ・デ・メオ社長は2月25日、カンファレンス「MWCバルセロナ」のインタビューで、この「モビリティ・アドバイザー(Mobility Adviser)」と呼ばれるツールは、さまざまな交通手段を駆使して都市を移動する方法がわかるものだと説明した。
このコンセプトを実現するため、IBMがWatsonを提供する。「IBMと提携すれば、機械学習で勝負を挑むことができる」とデ・メオ社長は語った。
自動車メーカー各社は現在、アルファベット傘下のグーグルやカーシェアリング大手ウーバー・テクノロジーズが開拓したアプリ・ベースの輸送市場でシェアを獲得するため、テクノロジーへの投資を強化。その結果、市場は過密状態になっている。
ドイツの自動車メーカー3社が所有する自動車用地図会社HEREテクノロジーズは1月、運転手や同乗者を知り合いとマッチングする「SoMo」を公開した。
マイクロソフトも移動計画ツールを提供するため、ナビメーカー企業トムトム(TomTom)および公共交通機関ソフトウェアメーカー、ムービット(Moovit)との提携関係を拡大した。

多数の企業がAI製品を売り込み

セアトのイージー・アーバン・モビリティー部門を率いるジョルディ・カウスは、あるインタビューで、アプリ開発に参加しようとする多くの企業がAI製品を売り込んできたと話している。
結局、IBMが選ばれ、2018年10月から開発が本格始動した。
カウスによれば、セアトは「IBMにいくらか支払っている」が、詳細な金額は明かされていない。
アプリのリリース日は未定で、2019年中は開発が続く見込みだ。Facebookのプロフィールを組み込む機能などが検討されている。
カウスによれば、スタンドアローン型のユーティリティーとしてリリースするか、セアトのソフトウェアに組み込むか、サードパーティーが自社製品に組み込む形で提供するかのいずれかになるという。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Nate Lanxon記者、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:©2019 Bloomberg L.P)
©2019 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.