(ブルームバーグ): メイ英首相は、3月29日に予定する欧州連合(EU)からの離脱を延期し、「合意なき離脱」を回避する案を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者の1人によれば、メイ首相は26日に開く閣議で、離脱期限の延長を協議することを容認し、EU離脱手続きを定めるリスボン条約50条の適用延長問題を議題に上げる予定だ。閣議の決定については同日の議会で明らかにする見込み。関係者によると、27日の下院採決で合意なき離脱の阻止に議会が動く可能性が高いと首相は理解しているという。

最終決定は行われていないが、予定していたEU離脱を先送りすれば、非常に大きな政治的賭けとなる。メイ首相のチームから親EUの閣僚らが大量に辞任する事態は避けられるとしても、与党保守党内の欧州懐疑派からの反発が波乱要因となる危険がある。

メイ首相は、期限に間に合うよう離脱合意の成立を目指す努力をなお続ける可能性が高いが、予定通りEUを離脱すると過去2年にわたり主張してきた首相にとって、離脱延期は大きな譲歩を意味しよう。

日本時間26日早朝の外国為替市場では、離脱延期の観測の高まりを好感し、ポンドの対ドル相場が一時0.4%高の1ポンド=1.3147ドルと、今月の高値を付けた。

メイ首相には残された時間がなく、保守党内の離脱推進派の怒りを買うか、辞任してでも政府方針に逆らい、27日の採決で合意なき離脱の阻止に同調したいと考える20人規模の親欧州派閣僚や政務担当者の離反に遭うか、二者択一を迫られていると首相周辺も認めている。

首相の計画では、離脱延期を協議する閣議は、ロンドン時間26日午前9時半(日本時間午後6時半)から始まり、同午後0時半から閣議決定の内容を議会で説明する。離脱の進行状況を反映した政府案が同日夜までに提出され、27日の下院で審議・採決が行われる。

ラッド英雇用・年金相やガーク司法相は、合意がないまま英国をEUから離脱させる政府の一員であるよりは辞任する意向を示唆しており、首相が合意なき離脱の危険を取り除く方策を見いだすことができなければ、閣僚の辞任が相次ぐ可能性が高い。一方で首相が離脱延期を支持すれば、離脱推進派は背信と受け止めて反発することが予想され、メイ政権への不信任投票を推進し、総選挙の引き金を引くことすらあり得るだろう。

原題:U.K.’s Theresa May Is Said to Consider Delay to Brexit DateU.K.’s Theresa May Is Said to Consider Delay to Brexit(抜粋)

(26日の閣議と議会への説明の予定時間などを追加して更新します.)

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