[東京 20日 ロイター] - 2月ロイター企業調査によると、企業は2019年度設備投資について、世界経済の不透明感から慎重姿勢を強め、投資を絞りこんでいる姿が浮かび上がった。不透明感が募る海外よりも国内投資に軸足を置き、省力化や人工知能・IoTといった先端情報技術への投資を拡大する傾向がうかがえる。

調査期間は2月1日─14日。資本金10億円以上の中堅・大企業480社に調査票を送付し、250社程度が回答した。

国内と海外の設備投資計画について、前年の計画よりも増額するとの企業の割合は、国内が30%に対し、海外は19%にとどまった。国内投資を増額する企業の割合自体も、17年2月のロイター企業調査と比べて3ポイント減少。減少させると回答した企業の割合は、前回調査と比べ4ポイント増えた。

国内投資を増額させると回答した企業からは「取引先の国内回帰に合わせて、国内工場のIoTなど効率生産設備の導入を計画中」(紙・パルプ)、「(顧客の)設備投資が国内に戻ってきているから」(化学)といった声が聞かれる。

一方、国内・海外投資とも横ばいないし減額方向との回答企業からは「海外リスクの高まりから景気の先行きが不透明なため」(その他製造業)、「世界経済の減速不安を考慮し、投資は慎重にならざるを得ない」(輸送用機器)といった見方が強い。

それでも人工知能やIoTなど情報化投資は、前年比拡大するとの回答が51%と半数を占めている。「ICT(情報通信技術)搭載の建設機械のイニシャルコストが高い」(サービス)、「国内外とも自動化投資を行う必要」(ゴム)といった状況がうかがえる。

また、人手不足が加速するもとで、省力化投資も44%の企業が拡大を計画している。

逆に「能力増強」と「買収・提携」への投資は減額方針の企業の割合が、2桁となっている。「ここ数期間で、関連製造業の増産投資はひと段落、海外は低調のまま推移している」(機械)といった声や、「新たに投資する分野は見当たらない」(小売)など、景気がピークを越えたことをうかがわせるコメントも寄せられている。

(中川泉 編集:田巻一彦  )