[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が15日発表した1月の鉱工業生産指数は前月比0.6%低下し、8カ月ぶりのマイナスとなった。自動車が2009年以来の大幅な低下を記録するなど、幅広い分野で低下が見られ、生産活動が急減速しているとの懸念が強まる可能性がある。

製造業部門は0.9%低下し、8カ月ぶりの大幅マイナス。予想は0.1%上昇だった。昨年12月分は0.8%上昇と、1.1%上昇から下方修正された。製造業は米経済の約12%に相当する。

前日発表の昨年12月の小売売上高は前月比1.2%減と、09年9月以来の大幅な減少となった。[nL3N209570]このほかにも軟調な米経済指標の発表が続いており、連邦準備理事会(FRB)が示している利上げに「忍耐強く」対応するとの姿勢が裏付けられる格好となっている。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「経済が軟調な局面に入ったとみられることから、FRB当局者が緩やかな利上げを休止する姿勢を示したのは賢明だった」としている。

1月鉱工業生産指数の市場予想は0.1%上昇だった。昨年12月のデータは0.3%上昇から0.1%上昇に下方修正された。

部門別では自動車が8.8%低下し、景気後退のさなかにあった09年5月以来の大幅な低下。また機械、化学、電子機器、航空宇宙・その他輸送機器も低下した。

自動車メーカーの間では、今年は販売が低迷するとの見方から、一部車種の膨れ上がった在庫の管理に向け生産を抑制する動きが出ている。

ただ、自動車を除いても1月の製造業生産は0.2%低下。昨年の1兆5000億ドルの減税措置の効果が薄れるに従い、製造業活動も減速しつつある。

設備稼働率は78.2%と、予想の78.7%を下回った。

ニューヨーク連銀がこの日に発表した2月のNY州製造業業況指数は、前月比4.9ポイント上昇の8.80と改善したものの、なお低い水準にある。[nL3N20A47O]

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のシニア米国エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「製造業生産は向こう数カ月は低迷が続く」との見方を示している。

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