「不思議の国」からの脱却いまだ果たせず、日銀ゼロ金利導入から20年
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注目のコメント
門間前理事が最近のBISでの議論を紹介していますが、マクロ経済学者の間でも、金融政策効果について、理論的に見直す動きも出てきています。金利低下は、異時点間の代替により消費が増加する(需要の先食い)とされてきましたが、家計によってはポートフォリオが異なるため、一律にこうした議論はできないのではないか、との説です。こうした理論は、HANK(Heterogeneous Agent New Keynesian)モデルといわれ、経済のトップジャーナルにも昨年掲載されました。このモデルでは、金融政策効果は、格差を拡大する可能性も指摘され、財政政策の重要性が強調されています。
個人的には、家計のポートフォリオが米国と異なる日本(預金比率が非常に大きい)は、金利低下によるネガティブな所得効果も多いうえ、長期の低金利は企業の構造改革も遅らせることになり、あまりプラスがないのではないかと思っています。
不思議の国は、マクロ経済の壮大な実験場になっていますが、経済学者や評論家のモルモットになるだけでなく、きちんと新たな理論を構築し、政策と理論が健全に相互作用されることを願います。
HANKについては、このサイトが纏まっています。
http://bit.ly/2Dcl2Fn金融政策は紐のようなもので、引っ張ることは出来ても押す事は出来ないので、金融緩和で景気を回復させるのは難しいのでしょう。
もっとも、最近の状況を見れば、これだけ労働力不足なのに賃金が上がらず物価も上がらない、というのは不自然ですね。人々の心に染み付いたデフレマインドが融けるまで物価が上がらない、という事なのかも知れません。
まあ、宅配便は値上げに成功していますし、他の業界も時間の問題だとは思いますが。なぜ、低金利&借入需要があっても貸出しのバーゲンセールが起きないか?Tirole(2005)が指摘する、情報の非対称性や、逆選択問題から信用割当問題が残るからという理論が日本に当てはまるような。
今の日本にはマクロ金融アプローチだけでなくミクロ金融アプローチの深化が足りてない!?原因との仮説をあげときます‥