[東京 1日 ロイター] - ソニー<6758.T>は1日、2019年3月期の売上高予想を前年比0.5%減の8兆5000億円に下方修正した。従来予想は同1.8%増の8兆7000億円だった。金融分野や半導体分野などの下振れを反映させた。増収予想は一転、減収予想となった。

会見した十時裕樹・最高財務責任者(CFO)は、半導体分野の下方修正について「主にスマートフォンの市場環境の悪化を踏まえ、イメージセンサー販売数量見通しを引き下げたことによるものだ」と説明。先行きについても「スマートフォンの厳しい市況は今後もしばらく続く」との見方を示したが、長い目で見れば「カメラの多眼化やイメージセンサーの大型化により、ソニーが得意とするハイエンドの需要が伸びていくという見方に変更はない」と強調した。

営業利益予想は過去最高となる前年比18.4%増の8700億円を据え置いた。金融と半導体がそれぞれ予想比100億円下振れたが、リスクへの備えとして見積もっていた200億円を使い下方修正は回避した。修正後の会社予想はリフィニティブがまとめたアナリスト24人の予測平均値8769億円をやや下回っている。

十時CFOは「スマートフォン市況をはじめ、マクロ経済、地政学などさまざまなリスクが顕在化し、今後についても楽観はできない」として、「各事業にリスクへの備えを怠らないことをCFOとして要請した」ことを明らかにした。具体的には販売計画や在庫管理の厳格化を求めたという。

最終利益予想は前年比70.1%増の8350億円に上方修正した。従来予想は同43.6%増の7050億円で、繰延税金資産に対する評価性引上金を取り崩したことによる法人税減額の影響を織り込んだ。

2018年4─12月期決算は、売上高が前年比0.8%減の6兆5381億円、営業利益が同13.9%増の8115億円だった。

不振のモバイル・コミュニケーション事業は、売上高が前年比32.1%減の3875億円、営業損益は561億円の赤字(前年同期は170億円の黒字)だった。

十時CFOはモバイル事業について「現在の赤字は10月予想とかけ離れたものではない。構造改革も順調に進んでおり、2020年の損益均衡の方向に変更はない」と事業の立て直しに自信を示した。

*内容を追加しました。

(志田義寧)