[シドニー 24日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が24日発表した12月の雇用統計は、就業者数が増加し、失業率も改善した。労働市場の強さを示す内容で、オーストラリア準備銀行(RBA)の安心材料になりそうだ。

12月の就業者数は前月比2万1600人増加した。11月改定値の3万9000人増からは伸びが鈍化したものの、市場予想の1万6500人増を大幅に上回った。

豪労働市場の全般的なトレンドはここ数年強く、年間の雇用の伸びは2.2%と人口増加率の1.6%を上回っている。

フルタイム雇用は2018年に約2%拡大した。

ただ、12月の統計の内訳を見ると、賃金が比較的高く安定しているフルタイム就業者数が3000人減と11月に続いてマイナスとなった。12月の雇用の伸びは完全にパートタイムが主導したことになる。

労働参加率が65.6%に低下したことで、失業率は5.0%に低下。9月と10月に記録した6年半ぶりの低水準に並んだ。不完全雇用率も8.4%に低下したが、引き続き過去平均を上回った。

RBAは約2年半にわたって政策金利を過去最低の1.50%に据え置き、次の動きは利上げになる可能性を繰り返し示唆している。

今回のデータがRBAのこうした中立スタンスを変える可能性は低いとみられ、豪ドルの対米ドル相場<AUD=D4>は統計を受けて発表前の0.7146米ドルから0.7159米ドルに小幅上昇した。

求人情報サイト、インディードのアジア太平洋担当エコノミスト、キャラム・ピカリング氏は「失業率の低下にもかかわらず、大きな緩み(スラック)が引き続き賃金の伸びを抑制している」と指摘。「不動産価格が下落するなど景気が減速しており、雇用の伸びは今年やや鈍化するだろう」との見方を示した。

市場の関心は、来週発表される第4・四半期のインフレ統計に集まる見通し。エコノミストはインフレ率の鈍化を予想しており、利下げ観測が一段と強まる可能性もある。

金利先物市場<0#YIB:>は現在、約60%の確率で12月までに1回の利下げがあるとの見方を織り込んでいる。数カ月前は利上げが予想されていた。

*内容を追加しました。