スルガ銀救った「預金支援」 迫る銀行廃業時代
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スルガの高収益性は、高い預貸率(貸出÷預金)にも理由がありました。ですから、ひとたび預金流出が発生すると脆いですね。
ところで、銀行の廃業というのは、地域経済に与える影響という点もあるのですが、実務的により大きな問題があります。
それは、廃業→営業債権譲渡のプロセスにおける資産査定です。
特に中小企業・個人向け貸出は、情報の非対称性が大きいので、取引銀行以外の第三者が査定すると保守的になり、債務者区分引き下げや引当金増加を求める傾向が強くなります。
そうなると、資産超過に見えた銀行が債務超過となり、預金カットにつながるとともに、借り手企業等をオーバーキル(取引承継した銀行が資金供給をストップ)する傾向が強まります。
確かに、廃業という可能性を示すことで銀行のモラルハザードは抑制できますが、廃業はそう簡単ではありません。銀行にあるまじきシロモノであっても、免許業種の銀行を金融庁は潰さない。我が身に監督責任が及ぶことを恐れるからです。
スルガ銀行の場合は、当時の森信親金融庁長官が「地銀の成功モデル」と持て囃し、立ち入り検査を怠っていたから、なおさら。万一「取り付け騒ぎ」になったら、不作為の罪を免れないからです。
金融庁が「預金支援」を頼んだのは、自らの行政責任を回避するためなのに、「記者クラブ」に縛られたマスコミは、当局の「不都合な真実」には一切触れない。「預金支援」なんて、モラルハザードの極みなのに、当局の言い分(都合のよい論理)を垂れ流している。
(有力地銀が預金支援に応じたのは、当局に貸しを作れば、いずれ埋め合わせをしてもらえるという「下心」、「黙契」からではないですか……)
実は森前長官が持て囃したのはスルガ銀行だけじゃありません。
水面下で信金中金を動かし、「第2のスルガ」の救済策を練っています。
☆「第二のスルガ」西武信金と森信親
前金融庁長官が絶賛した「信金界の麒麟児」。一皮むけば野放図な不動産融資のモンスター。
https://facta.co.jp/article/201810044.htmlスルガ問題は自己責任事象とはいいながら、不動産融資傾倒に拍車を掛けた原因はマイナス金利政策です。他地銀における現在の急激な地銀経営悪化の元凶もまた、マイナス金利政策です。
ゼロ金利はともかく、預けて金利が取られるマイナス金利は金融機関が預金者にコスト転嫁できない異常事態であり、金融政策的なメリットがあまり実感できていない現在において、もはや明らかにデメリットの方が大きくなっています。まずは一刻も早く正常な状態に戻してから、改めて地銀再編の議論を始めるべきでしょう。
スルガ銀行に関しては、悪しき経営路線転換と創業家の関わりについてしっかり検証して公にし、金融界のみならぬ再発防止に資することが求められます。