[東京 10日 ロイター] - 証券取引等監視委員会は10日、日産自動車<7201.T>の前会長、カルロス・ゴーン容疑者と前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者、法人としての日産自を金融商品取引法違反の疑いで東京地検に告発したと発表した。2017年度まで3年分の有価証券報告書で、役員報酬を実際より過少に記載した疑い。

監視委によると、17年度までの3年間、ゴーン容疑者への実際の報酬は合計約71億7500万円だったにもかかわらず、有報に記載された報酬の合計は29億0400万円で、約42億7100万円過少に記載した疑い。

監視委は10日の記者向け説明会で、有報に記載された役員報酬について「会社の業績や役員の働きに見合ったものか、役員の仕事のインセンティブの観点から適切なのか、ガバナンスが機能しているかを判断する手掛かりになる」と指摘。「法令で有報に役員報酬を記載すべきとなっているのは、投資判断に有効な情報だという趣旨だ」と説明した。

虚偽記載のある有報を提出した日産について、内部統制が機能していなかったのではないかとの質問には、公判で明らかにされるべきことだとして、監視委は回答を控えた。

監視委は昨年12月、10年度から14年度まで5年間についても、役員報酬の虚偽記載の疑いでゴーン容疑者らを告発した。

*内容を追加しました。

(和田崇彦)